【士業に訊け!司法書士・岡野慎平 】
Vol.6 札幌で公私ともに花開く!?

【士業に訊け!司法書士・岡野慎平 】


弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、弁理士、社会保険労務士、行政書士、海事代理士など、「士業」(通称さむらい業)の面々が指南するお役立ちコラムです。

2021年もいよいよ押し迫ってまいりましたが、みなさまお元気ですか?司法書士法人キャストグローバル広島事務所代表社員の司法書士、岡野慎平です。年末年始の慌しい中、オミクロン株が広がることだけは勘弁してほしい⁉ 皆さまくれぐれもご用心を!さて今回は北海道札幌編の続編です。

さて、職場の同僚である女性と付き合うことになったわたしですが、そのまま1年も経たないうちに結婚することに。転勤するまでは予想もしていなかった北海道での新婚生活がスタートしました。新居となったのは事務所にほど近い、札幌市街中心部のタワーマンションの27階でした。まだ20代半ばの若造が、なぜ札幌市内の景色が一望できるセレブな生活ができたのか?その理由とは…。

司法書士になって2~3年目とはいえ、所属先の司法書士法人が全国展開を進める中、北海道の市場を開拓する札幌事務所の代表として赴任したので、とんとん拍子で役員になれたからです(自分の狙い通りでした!)。役員報酬も付いて、以前よりもお金はあるものの、ネオン街で自由を謳歌していた独身の頃とは違う所帯持ちになったため、散財することはできないのが玉にキズでしたが…。

もちろん、仕事の結果は出していましたよ。前回お伝えしたように、当時は過払い金や借金整理が社会問題となっており、2005年からは法務大臣の認定を受けた「認定司法書士」は訴額140万円以下の訴訟や民事調停、裁判外和解の代理業務や法律相談を行うことが認可されたので、わたしたちの仕事も債務整理など、お金に関連する案件の扱いが増えていました。観光産業の盛んな札幌では、不景気のあおりを受けて多重債務者が急増したため、相談が絶えません。仙台、福岡、広島など主要拠点に比べても札幌の債務整理の受注率が特に高く、売上げは全拠点でもトップでした。

こうして債務整理などへの対応に追われる日が続いたわけですが、「どん底でやばいよ…」と相談に来られた方にとって司法書士は、借金がなくなるだけでなく、場合によってはお金が返ってくる手続きをしてくれるのだから有難い存在です。わたしのような若造を「先生!」「先生!」と呼んで、頼りにしてくださるので、ちょっと調子に乗っていたかもしれませんね。そんな矢先、わたしを札幌事務所の代表に抜擢してくれた上野興一社長から「当法人は借金問題の業務から撤退する」という方針を伝えられました。過払い金の原因となっていたグレーゾーン金利が賃金業法の改正に伴い、撤廃される動きがあることを見据えた社長の迅速な判断でした。

ちなみにグレーゾーン金利は2006年12月の貸金業法の改正、2010年6月の改正貸金業法の完全施行により撤廃されました。現在は、借り入れをしていても金利が利息制限法の範囲内であるため、過払い金が発生せず、以前のように請求することができなくなっています。うちの法人は、売上に貢献していた事業部門であっても逸早く見切りをつけたことで、のちのち混乱を招くような事態を回避できました。英断を下した上野社長は、わたしよりひと回りくらい年上ですが、経営者として天才的なセンスを持っている気がします。いつも高級寿司屋や高級キャバクラに連れて行ってくれるからではなく、ひとりの経営者としてこの頃からずっと尊敬していますね。

それ以後、札幌事務所でも司法書士本来の業務である不動産の登記業務などにシフトすることになり、再び不動産会社や銀行回りに明け暮れる日が始まりました。札幌で活動した3年間のうち、最後の1年間は登記の仕事や残務整理に追われていましたね。プライベートでは2010年10月に娘が生まれ、家族が1人増えることに。司法書士となって5年目を迎え、法人の役員にもなれたし、頑張れば頑張った分だけ給与に反映しされるし…仕事をひと通りこなせる自信がつくと、やり甲斐を感じる一方で、生意気にも少しマンネリ化してきたかなと思う自分に気付きました。

赴任して3年間で拠点単体の売上もアップさせたことや、債務整理に携わっていた頃から相談者に感謝される機会が増えて「先生」と呼ばれるのにも慣れたことで、天狗になっていたにちがいありません。このまま慢心して仕事に飽きてしまいそうなわたしに、新たなミッションが社長から伝えられました。札幌事務所の後輩が育って、わたしの後任を任せられる目途がついたので「東日本の拠点として新規出店する埼玉県大宮市で立ち上げ準備を進めて欲しい」との申しつけです。急きょ、2010年いっぱいで札幌の地を後にして大宮で新しい拠点開設に携わることになりました。

仕事で赴任するまで縁もゆかりもなかった北海道札幌で過ごした3年間、公私ともにいろんなことがありましたが、今となっては懐かしい思い出ばかり。北の大地での様々な経験を通じて、見違えるほどパワーアップした若き司法書士・岡野慎平の奮闘はまだまだ続きます。2022年もご期待ください!みなさま、良いお年を!

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