【名盤紀行 】
Vol.14 リスペクト

【名盤紀行 】


長崎市出身、広島市在住。映像&イベントの制作会社の広島本社に20年、東京支社に10年勤務。今は「レコードバー野中サンハウス」の店主。今日のレコードは、なあに?

こんち、これまた、ご機嫌いかが?流川の「レコードバー野中サンハウス」店主でございます。2018年冬に開店した「野中サンハウス」では、「アナログ・モノラル・ローファイ」を合言葉に、日々様々な音楽をお楽しみいただいております。2021年秋、ついにあの映画が公開される。アレサ・フランクリンの伝記映画「リスペクト」である。11月5日、サロンシネマにて公開、行かねば!

映画「リスペクト」、主演はジェニファー・ハドソン。1981年シカゴ生まれ、40歳。2006年の映画「ドリームガール」に出演して大絶賛された。とにかく歌唱力が半端ではない。今作も、その歌声でアレサ・フランクリンの名曲を歌い上げる、楽しみだ。タイトルとなっている「リスペクト」は、1967年の大ヒット曲。が、しかし、アレサは、ある男の曲をカバーしたのであります。

その男の名前は、オーティス・レディング。1941年生まれと言うから、ビートルズのジョン・レノン兄さんと弟分ポール・マッカートニーの間に、むぎゅっと挟まれた感じ?オーティスは、1962年、シングル盤デビュー。1965年、アルバム「オーティス・ブルー」のために録音したのが「リスペクト」、もちろん作詞&作曲、オーティス・レディング。もちろん、良い曲なので、ヒットして、全米35位、立派なものです。1967年、アレサ・フランクリンのカバー・バージョン、アレンジもとても良く、なななんと、全米1位、凄すぎる!

このレコードが、オリジナル「リスペクト」が入っている、4曲入りEP盤。ジャケット写真にご注目頂きたい。右端で白いテレキャスターを弾いている男、若き日のスティーブ・クロッパーであります。オーティスと同い年。オーティスの陰で見えないベーシストが、ドナルド・ダック・ダン、こちらも同い年。このお二人、忌野清志郎とご縁があり、アースマラソン挑戦中の間寛平のための応援ソング「RUN寛平RUN」で演奏をしてくださいました、ありがたや。ちなみに、ドナルド・ダック・ダンは、来日中の2012年5月13日、東京都内のホテルで亡くなった、残念。クロッパーはご存命。

おおっと、脇道に逸れる気持ちをグッとこらえて、今日の本題。オーティス・レディングの名曲をご紹介いたします。

さて、このレコード、映画の主題歌であります。「20世紀最高のグラマー」と称された女優、ラクエル・ウェルチ演じる主人公マイラが、実はむかし男だったという1970年の映画「マイラ」、その主題歌がオーティスの「ハード・トゥ・ハンドル」のようです。もちろん、映画は見たことございません、あしからず。演奏しているのが、1943年テネシー生まれの南部野郎、トニー・ジョー・ホワイト。晩年のエルヴィス・プレスリーがステージで歌っていた「ポーク・サラダ・アニー」の作曲者。歌い始める前に、必ずえずく品のないダミ声と、切れの良いギターがたまりませぬ、名演!

日本人も、勿論カバーしております。1949年京都生まれ、日本最初のソウルシンガー、上田正樹が率いる最強ソウルバンドが「上田正樹とサウストゥサウス」。1975年のライブ盤「この熱い魂を伝えたいんや」のラストナンバーが、オーティス・レディングの超有名曲、「I Can’t Turn You Loose」、邦題は「お前を離さない」。ブルース・ブラザーズも、カバーしていました。このアルバム、拙店「野中サンハウス」で、ちょいちょい回しますが、特に若い方が、「カッチョイー」と御反応くださいますよ、いやほんま。

さて、本稿も終盤に向かいつつあります。つまり、オーティスの人生も終盤に向かいます、残念ながら。1967年、オーティスにビッグ・チャンスが訪れます。「モンタレー・ポップ・フェスティバル」への出演。おそらく世界最初のロック・フェスティバル、動員は3日間で20万人と言われている。ちなみに、1969年のウッドストックは、40万人。

このフェス、いくつかのとんでもない見どころがある。ラヴィ・シャンカルのシタール演奏、ジャニス・ジョプリンの鬼気迫る熱唱、ザ・フーが楽器を破壊し、ジミ・ヘンドリクスがギターを燃やした。正直、ジミ・ヘンドリクスのシーンがハイライトである。で、このアルバムをご覧いただきたい。ジミとオーティスのモンタレーの演奏のカップリング、良く見るとオーティスの名前の方が、上にある。ハイライトの、さらに上!それほどの大喝采を浴びた熱い演奏だったそうです。向かうところ敵なし状態のオーティス、何処へ行く。

1967年、12月6&7日、「The Dock of The Bay」を録音。その3日後、オーティスを乗せた自家用飛行機が、墜落。オーティスは帰らぬ人となった、享年たったの26歳。この曲、1968年1月8日にシングル盤がリリースされ、ビルボード・チャート1位、オーティス最大のヒット曲となった。そのことを、勿論、彼は知らないのである。

今回は、映画「リスペクト」公開記念として、オーティス・レディングのお話を致しました。さて、そんなこんなレコードが、そこそこある「レコードバー野中サンハウス」へ、ぜひおはこびください。月に一度ほど、RCCラジオの人気番組「バリシャキNOW」にお呼びいただき、蓄音機で2枚回しています。次回は、11月8日月曜日に出演する予定です。また、タウン情報ひろしまでは、「レコード女子のススメ」というコラムを書いております。毎回、レコードプレゼントがございますので、是非!さて本日はここまで。今日も明日も、名盤聴こう!それでは、みなさん、ごきげんよう。

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