【名盤紀行 】
Vol.13 サマー・オブ・ソウル

【名盤紀行 】


長崎市出身、広島市在住。映像&イベントの制作会社の広島本社に20年、東京支社に10年勤務。今は「レコードバー野中サンハウス」の店主。今日のレコードは、なあに?

こんち、これまた、ご機嫌いかが?流川の「レコードバー野中サンハウス」店主でございます。2018年冬に開店した「野中サンハウス」では、「アナログ・モノラル・ローファイ」を合言葉に、日々様々な音楽をお楽しみいただいております。2021年10月1日、ついにあの映画が広島で公開される。東京では8月27日公開だった、広島はサロンシネマ。その映画とは「サマー・オブ・ソウル」のこと。ああ、早く見たい。

時は1969年。アメリカはニューヨーク州郊外のウッドストックで、世界最大の音楽フェスティバル「ウッドストック」が開催され、約40万人を動員したのが、8月15~17日の3日間。その模様の映画を見て「音楽にできることがある」と信じたガキどもがいっぱいいたと思う。ワシもそのひとり。とにかく、誰もが知っている、あの有名なフェスが「ウッドストック」。

同じころ、ニューヨークはハーレムのマウント・モリス・パークにて、6月29日~8月24日の間で6回のコンサートが催され、30万人が集まったらしい。それが、「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」、人呼んで「黒いウッドストック」。50年以上、ほぼ表に出ることのなかったフェスの映像が、やっと「サマー・オブ・ソウル」という映画になった、快挙!しかし、サブタイトルが興味深い。「あるいは、革命がテレビ放送されなかったとき」、だから一部の人しか、知らなかったのである。貴重な映像、ああ早く見たい。

ワシもまだ、映画を見ておりませんので登場順など、まったくわかりませんが、チラシを読むと出演者は、わかる。まずは、ニーナ・シモン(1933~2003)。ジャズ歌手として、くくられることが多いが、ブルース、ゴスペル、ソウルなど、黒い音楽は勿論のこと、白い音楽も歌う、マルチなシンガー。トム・ウェイツは、大きな影響を受けたと、ワシは思っております。しかも、音楽活動のみならず、公民権活動も積極的に行っていたそうだ。

向かって左は、ベスト盤のLPレコードで、1曲目が「Ain’t Got No, I Got Life」。もともとは1968年、ブロードウェイに初めてロックを導入したミュージカル「ヘアー」の中の1曲。「たいしたものは持ってないけど、俺は生きているぜ」という歌。この曲、黒人公民権活動家、ニーナ・シモンが歌うとたまらない。映画でも歌ってほしいな、ああ早く観たい。ところで、向かって右のシングル・レコードは、1964年の「悲しき願い」。翌1965年にイギリスのアニマルズがカバーし、大ヒットした、あの超有名曲。最初に歌ったのは、ニーナ・シモン。

続いては、マヘリア・ジャクソン(1911~1972)、とステイプル・シンガーズのメイン・シンガー、メイヴィス・ステイプル(1939~ご存命)の共演。当時60歳、ちょい手前の大御所ゴスペル・シンガーのマヘリア・ジャクソンと30歳のメイヴィス・ステイプル、ゴスペル新旧スター夢の競演である。いったい何を歌ったのでしょうか?ああ早く見たい。ちなみに、向かって右のシングル・レコードがマヘリア・ジャクソン。向かって左が、ステイプル・シンガーズのCD4枚組、いろんな曲を歌っていて、聴きごたえあり。

続いて、BBキング(1925~2015)、当時40代半ばのブルースマン。この時期のBBキングは、毎年スタジオ録音のLPをリリースしている充実期。1971年にはイギリスに渡り、リンゴ・スターをはじめとするイギリスのミュージシャンと録音し、「イン・ロンドン」を発表。ちなみに、写真のLPレコードは、1964年、シカゴのリーガル・シアターで録音した熱のこもったライブ名盤「ライブ・アット・ザ・リーガル」。冒頭、最高な登場MCに乗って始まる、「Eevryday I Have the Blues」、たまりませぬ。このライブのオーディエンスは、ほぼ黒人らしい。とすれば、「サマー・オブ・ソウル」も、同様に超熱い演奏が期待できるはず、ああ早く見たい。

続いては、スライ&ザ・ファミリー・ストーン。このバンド、この時期、最重要バンドであったと断言する。理由その1=人種・性別混合編成バンドであること。つまり黒人と白人、および男性と女性が、共存している共生バンド、素晴らしいではありませぬか。理由その2=新しい黒人音楽を創造したこと。その音楽は、白人にも支持された。理由その3=「ウッドストック」でとんでもないパフォーマンスをしたこと。「I Want to Take You Higher」の大熱狂は、本当にとんでもない。「ウッドストック」のスライが「黒いウッドストック」で、黒人聴衆に向けてどんな演奏をしたのか、ああ、早く「サマー・オブ・ソウル」が見たい。ちなみに、このLPは、1969年のアルバム「スタンド」。 もちろん、「I Want to Take You Higher」も入っている名盤。

今回は、映画「サマー・オブ・ソウル」の出演者についてお話しました。さて、そんなこんなレコードが、そこそこある「レコードバー野中サンハウス」へ、ぜひおはこびください。月に一度ほど、RCCラジオの人気番組「バリシャキNOW」にお呼びいただき、蓄音機で2枚回しています。次回は、10月の第1週か第2週の月曜日に出演する予定です。さて本日はここまで。今日も明日も、名盤聴こう!それでは、みなさん、ごきげんよう。

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