こんち、これまた、ご機嫌いかが?流川の「レコードバー野中サンハウス」店主でございます。2018年冬に開店した「野中サンハウス」では、「アナログ・モノラル・ローファイ」を合言葉に、日々様々な音楽をお楽しみいただいております。
2021年初夏、素晴らしいドキュメンタリー映画が広島にやってくる。サロンシネマにお尋ねしたところ、おそらく6月に上映。その映画とは「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」のこと。1972年、教会でのコンサートの模様が、録音&録画された。その音楽のみはライブ・レコードとしてリリースされながら、映画として完成したのは、2018年。約50年、待たされているのであります、ああ、早く観たい。
アレサ・フランクリン、1942年、メンフィス生まれ。もっと大先輩と思い込んでいたが、ポール・マッカートニーと同い年、キース・リチャーズのいっこ上。1961年レコード・デビュー、ビートルズの1年前。数々の偉業を残し、1987年、女性で初めて「ロックの殿堂入り」を果たした。ローリング・ストーン誌が2008年に発表した「歴史上最も偉大な100人のシンガー」で、堂々の1位!!!そして残念ながら、2018年他界、享年76歳。
さて、この2枚組のアルバム「アメイジング・グレイス」、30歳のアレサ・フランクリンの素晴らしい歌がたっぷり入っている。教会でのライブゆえ、ゴスペル聖歌隊の分厚いコーラスも圧巻である。特に、タイトル曲「アメイジング・グレイス」は、10分を超える大熱演。キャロル・キングの名曲「君の友達」も、グッとくる。当時、このレコードを聴いていた方々、さぞや映像が見たかったでしょう、でも大丈夫、もう少しの辛抱ですからね。
さて、こちらのアルバムは、1年前の1971年、サンフランシスコのライブハウス、フィルモア・ウェストでの演奏。タイトルはそのまんま「アレサ・ライブ・アット・フィルモア・ウェスト」。メンバーが凄い。サックスはキング・カーティス、ギターは、コーネル・デュプリー、ドラムが、バーナード・パーディーと、とってもファンキーなのだ。おまけに、レイ・チャールズが飛び入り、なんとゴージャスな!サイモン&ガーファンクルの「明日に架ける橋」も歌っていて、もちろん、歴史的名盤でございます。
そんな大天才、アレサ・フランクリンも1970年代後半のディスコ・ブームの時代、ヒット曲を出せなくなってしまう、ああ残念。が、そこで女神がほほ笑むのであります。
1980年、とんでもない映画が登場、その名も「ブルース・ブラザーズ」。後に「オレたちひょうきん族」が真似をしたアメリカのテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で大暴れしていた、ジョン・ベル―シとダン・エイクロイドが主演。チンピラ兄弟が、ブルースバンドで一山当てて、以前世話になった孤児院を守るお話。
で、この映画には大きな特徴がある。「ホンモノ」のミュージシャンが出演していること。ブルース・ブラザーズ・バンドの基本は、オーティス・レディングのバックバンド、MG’sである、なんと贅沢な。そして、ブラックミュージックの巨人3人も登場。アレサ・フランクリン、ジェームス・ブラウン、レイ・チャールズ、である。ディスコ・ブームの中、存在感を失っていた3人の歌声の、まあ凄い事!言葉でお伝えしても仕方がないので、ぜひ一度ご覧ください、値打ちがありまっせ。3人とも、この映画で息を吹き返し、その後大活躍、よかったよかった。ありがとうベル―シ、ありがとうエイクロイド。
アレサが亡くなる1年前の2017年、アトランティック・レーベルへの移籍50周年記念盤として「ブラン・ニュー・ミー」がリリースされた。1967年から1979年に在籍したアトランティックには、当時のアレサの歌声が沢山残されている。かたや、ロイヤル・フィルハーモニック・オーケストラは、ロンドンのアビーロード・スタジオで、新たに伴奏トラックを録音したのである。この二つを組み合わせると、「ブラン・ニュー・ミー」、つまり「ぴっかぴかの私」なのであります。
もちろん、賛否両論あった。が、しかしである。アルバム1曲目の「シンク」を聴いた瞬間に、うかつにも泣いてしもうた黒人音楽愛好家、1人知っとるで、ワシ。さあ、涙を拭いて、映画「アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン」を見に、サロンシネマに行こう!
今回は、アレサ・フランクリンをレスペクト致しました。さて、そんなこんなレコードが、そこそこある「レコードバー野中サンハウス」へ、ぜひおはこびください。シングル盤は、昭和歌謡から映画音楽まで、雑に約1000枚ございますが、レコードやCDの持ち込みも可能です。また弊店、蓄音機でSPレコードもお楽しみいただけます。月に一度ほど、RCCラジオの人気番組「バリシャキNOW」にお呼びいただき、蓄音機で2枚回しています。次回は、4月12日、月曜日に出演する予定です。
さて本日はここまで。今日も明日も名盤聴こう!それでは、みなさん、ごきげんよう。