【名盤紀行 】
Vol.11 レット・イット・ビー

【名盤紀行 】


長崎市出身、広島市在住。映像&イベントの制作会社の広島本社に20年、東京支社に10年勤務。今は「レコードバー野中サンハウス」の店主。今日のレコードは、なあに?

こんち。これまた、ご機嫌いかが?流川の「レコードバー野中サンハウス」店主でございます。2018年冬に開店した「野中サンハウス」では、「アナログ・モノラル・ローファイ」を合言葉に、日々様々な音楽をお楽しみいただいております。2021年夏、ついにあの映画が公開される。現時点の情報では、8月27日全世界公開らしい。その映画とは「The Beatles : Get Back」のこと。ああ、早く見たい。

このLPレコードが、1970年に発表された「レット・イット・ビー」。同名の映画のサウンドドラック盤でもある。この映画、屋上でのライブ演奏シーンを除くと、喧嘩してたり、だらだらしてたりで、いまいちの評判。公開当時、彼らがしゃべる「リヴァプール弁」が翻訳できなかった説もある。ビートルズマニアの友人が、ある日、この映画の完全日本語訳版DVD(海賊版ですが)を貸してくれたので見た。良いのです。意味が分かって見ると、そんなに悪くない。ちゃんと見ると4人とも、それなりに楽しそうなのです。

しかも少し考えたらわかるのですが、このレコードは、ビートルズの「ライブ盤」と呼んで、ほぼ間違いない。プロデューサー、フィル・スペクターが若干手を加えてはいるものの、基本は一発録音。1966年にコンサート活動をやめた彼らの「全盛期」のライブ演奏なのだ。ジョンとポールが「せーのっ」でハモるとこうなるのだ。すげえ。

この映画&レコード「レット・イット・ビー」のためのスタジオ録音が「ゲット・バック・セッション」。その膨大な量のフィルムから編集した映画が、「ゲット・バック」なのであります。予告映像を見て、驚いた!ジョン・レノンが張り切っている!敵に回すと、こんなに厄介な奴はいないが、味方にすると、こんなに頼もしい奴もいない。格好良いぜ、ジョン兄貴!

実はワシ、「ゲット・バック・セッション」の音源、随分前にゲットしておりました。「’69 Rehearsals」と言うタイトルで1991年にCDでリリースされたVol.1~3。ワシがゲットしたのが、1&2の日本盤。おんなじ曲をかなりの回数、演奏している。さて、写真をご覧ください。左上にあるのが、「Vol.1」。畳むと普通のCDサイズ。上下左右に開くとスナップ写真がいっぱい出てきてウレシイ。「Vol.2」の右ジャケットにジョンの顔が6枚。ね、楽しそうでしょう?

アルバム「レット・イット・ビー」を持っている方も、シングル盤「レット・イット・ビー」は必須であります。シングル盤は、ジョージ・マーティンがプロデューサー、アルバムは、フィル・スペクター。ジョージのギターソロが全く異なり、どちらも名演です。しかし、問題はB面。「ユー・ノウ・マイ・ネーム」である。なんともふざけた曲である。ジョンとポールが、ノリノリでじゃれあってるだけ。ガキの頃、このレコードを買って、B面を聴いた中学生のワシは、がっかりした。「金返せ」と思った。が、今聴くと良いのですよ、これが。やっぱりジョンには、永遠に悪ふざけして欲しかったです。ちなみにサックスを吹いているのは、ローリング・ストーンズの故ブライアン・ジョーンズらしい。

実は「レット・イット・ビー」には、こんなシングル盤がございます。1976年に始まった「角川映画」の大進撃の真っ最中、1981年横溝正史シリーズの「悪霊島」、なんと挿入歌が「レット・イット・ビー」と「ゲット・バック」なのである。右下に4人の写真が、小さく入っている。楽曲の使用権がすぐに切れて、現在のDVDは、別歌手がカバーしているらしい。別歌手って誰?その誰かを見破るためだけにDVD買うのも癪なので、ご存じの方、教えて下さいな。

さて、アルバム「レット・イット・ビー」を最終的にまとめ上げたのは、フィル・スペクターである。「ウォール・オブ・サウンド」を編み出した鬼才プロデューサー。1960年代初めに、モノラルで壁のような音を発明し、多くの音楽家に影響を与えた。1963年に黒人コーラスグループ、ザ・ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」をプロデュースし、大ヒット。ザ・ロネッツのセンター、ヴェロニカ・ベネットは、フィル・スペクターと1968年に結婚、1973年に離婚している。フィル・スペクターは、残念ながら、2003年に人を殺めて、禁固されていたが、2021年になんとコロナ感染で死去、享年81歳。

今回は、映画「The Beatles : Get Back」公開記念として、「Let It Be」にまつわるお話を致しました。さて、そんなこんなレコードが、そこそこある「レコードバー野中サンハウス」へ、ぜひおはこびください。月に一度ほど、RCCラジオの人気番組「バリシャキNOW」にお呼びいただき、蓄音機で2枚回しています。次回は、7月19日、月曜日に出演する予定です。さて本日はここまで。今日も明日も名盤聴こう!それでは、みなさん、ごきげんよう。

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