【名盤紀行 】
Vol.4 モータウン

【名盤紀行 】


長崎市出身、広島市在住。映像&イベントの制作会社の広島本社に20年、東京支社に10年勤務。今は「レコードバー野中サンハウス」の店主。今日のレコードは、なあに?

こんちこれまた、ご機嫌いかが?流川の「レコードバー野中サンハウス」店主でございます。2018年冬に開店した「野中サンハウス」では、「アナログ・モノラル・ローファイ」を合言葉に、日々様々な音楽をお楽しみいただいております。

2020年、冬目前の11月20日金曜日、なんと映画「メイキング・オブ・モータウン」が八丁座にて封切されるのであります。ブラックミュージックファンはもちろん、ロックファンも必見ですぞ!当然、私もまだ見ていないので、60年を超える歴史の中で、何処に焦点を当てた映画なのかは、分かりません。だからこそ、早く見たい!

昨年、「モータウン60」と言うCDが発売されました。3枚組60曲入り。この「60曲」というところがミソであります。1959年に設立されたモータウン・レコードが2019年に60周年を迎えた、その記念の60曲なのだ、納得。きっちりと時間軸に沿って整然と曲が並べられています。まず1曲目、モータウンの記念すべき初ヒット曲、バレット・ストロングの「マネー」、のちにビートルズもカバーした名曲であります。

「なにより金が欲しいんじゃ」と言う曲の売上で、経営にゆとりができるなんてエエ話。2曲目は、マーヴェレッツの「プリーズ・ミスター・ポストマン」、黒人チャートはもちろん、白人チャートでも1位を獲得、白人も聴いてくれるブラック・ミュージックの誕生!またまたビートルズがカバーしています。なるほど、映画のチラシに「ビートルズとローリング・ストーンズが憧れた音楽レーベル」と書かれておりますのよ、オホホ。

このように、CD1枚目は、レーベル黎明期、1970年頃までの名曲が、むぎゅっと収まっています。2枚目は、1972年から1984年、3枚目は、1988年から2018年までが、むぎゅむぎゅっと。こんなにたっぷり入って、お値段たったの2750円、わたしゃあタワーレコードで買いました。皆様も家宝にいかが?

さて、映画「メイキング・オブ・モータウン」がやってくる。そもそも「モータウン」とは、なんぞや?ベリー・ゴーディ・ジュニア、1959年にモータウン・レコードの元となる「タムラ・レコード」をデトロイトに創設。彼は、1929年生まれなので、90歳でご存命!この映画、きっと本人の気が確かなうちに歴史をアーカイブするのが本意ではないのか?さて、お話のお相手は、もちろんこの方、モータウンの副社長を務めた、ミラクルズのスモーキー・ロビンソン、こちらは80歳。ここで、チラシの左側をご覧ください。「創設者ベリー・ゴーディが 初めて語った 伝説を作るノウハウ」と堂々と書いてございます。真に受けて、真正面から鑑賞させていただきます。

ではなぜ名前が「モータウン」なのか?当時、アメリカ自動車ビッグ3、ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラーがいた街デトロイト。つまり「Motor Town」、略して「モータウン」でござい。またゴーディは、自動車工場での勤務経験があり、音楽を「流れ作業」で作りたいと思うのであります。つまり各セクションを専門のチームにすること、厳しく品質管理をすること、なるほど。

そこで、作曲家チーム&専属バンドが重要な意味を持つのであります。前者の代表が「ホランド=ドジャー=ホランド」であり、後者の代表が「ファンク・ブラザーズ」。モータウン・サウンドの要は、このバンドのベース奏者、ジェームス・ジェマーソンなのは、確かな事実ですが、皆さんがジェマーソンの演奏と思っている曲、結構、「キャロル・ケイ」が弾いているらしいです、そう、女性しかも白人!これもエエ話。

2019年が60周年の記念年、という事はこれまでの記念年はどうしていたのか?私のささやかな店「レコードバー野中サンハウス」には、渋いお客様がおられまして、この2枚をお貸しくださいました。20周年のLPレコードと40周年のCD、ともに2枚組。とくに、20周年のLPは、大学生の頃にご購入、そりゃそうだ。20周年は、ジャクソン5とスプリームス(以前はシュープリームスと呼んでいた)、つまり、マイケル・ジャクソンとダイアナ・ロスをぐいぐい押し出す選曲。20周年記念に乗じて、レコードたくさん売ったろかい、てな選曲。

かたや40周年CDは、60周年の冷徹な時間軸もなく、20周年LPの商魂もなく、一生懸命40曲を選んでおられます、選曲お疲れ様です。ちなみに、30周年、50周年盤も、あるらしいのですが、これ以上私の人生が複雑になるのも困りもの、敢えて出会わないことを祈っております、アーメン。

モータウン60年の中で名盤は?私はスティービー・ワンダーの「キー・オブ・ライフ」をお薦めいたします。録音した曲がLPレコード2枚に収まらず、7インチレコードが1枚付いている、変な編成の作品。この時期のスティービーは、勢いが凄い。1972年「トーキング・ブック」、1973年「インナーヴィジョンズ」、1974年「ファースト・フィナーレ」、そしていよいよ1976年の「キー・オブ・ライフ」。新しい楽器シンセサイザーを使いこなすスティービー、そうとうひねくれて格好良い音色を造っていると思います。「愛するデューク」、「楽園の彼方へ」など名曲たっぷり、ぜひ家宝に1枚!

店のレコード棚を漁っておりますと、ひょっこりこんなものが。モータウンのオムニバス・レコード。まあまあな曲たちが、まあまあ入っていて、そうとう楽しい1枚。

そんなこんなレコードが、そこそこある「レコードバー野中サンハウス」へ、ぜひおはこびください。シングル盤は、昭和歌謡から映画音楽まで、雑に約1000枚ございますが、レコードやCDの持ち込みも可能です。また弊店、蓄音機でSPレコードもお楽しみいただけます。

月に一度ほど、RCCラジオの人気番組「バリシャキNOW」にお呼びいただき、蓄音機で2枚回しています。次回は、12月7日、月曜日に出演する予定です。さて本日はここまで。今日も明日も、名盤聴こう!それでは、みなさん、ごきげんよう。

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