こんにちは、映像クリエイターのおばDです。ご無沙汰しております!仕事の忙しさを理由にしばらく筆(パソコン)を置いたまま、とうとう2023年になってしまいました。脚本家の三谷幸喜さんも「筆が遅い」ので有名らしいですが、おばDも、その分野では三谷さんに負けていないと思います!
今年1発目は、現在公開中の映画「THE FIRST SLAM DUNK」について書かせて頂きます。1980年代に、週刊少年ジャンプで連載されていた、バスケットボール漫画の金字塔。当時すごい人気でしたが、未完結(?)で終わってしまったことで、現在も「その後」が描かれることを熱望するファンが後を断ちません。
なぜ、この映画(漫画)について書こうと思ったのか?まず1つ目。プロフィールでも語っていますが、おばDの座右の銘が、舞台となる湘北高校のバスケ部顧問・安西先生の「あきらめたら、そこで試合終了ですよ?」だからです。
実はおばD、小学生から高校生までバスケ部でした。中学生の時はキャプテンをつとめ、高校は「バスケが強い」という理由だけで受験しました。それなのに…実は連載当時、全くスラムダンクを読んでなかったんですね。主人公の桜木花道がヤンキーだったことと、「春子が好きだからバスケを始めた」という、少年漫画にありがちな、安易な設定が許せなくて(笑)。
初めて読んだのは、確か30代後半。その頃は、おばDの暗黒時代でした。何をきっかけに読んだのかは、全く覚えてないのですが、とにかく衝撃を受けたことを覚えています。スラムダンクは、無名の湘北高校が、全国大会で日本一の山王工業に挑むまでを描いているのですが、主人公がそもそもバスケ初心者なんですよ。「黒子のバスケ」という漫画があるのですが、そちらはプレーヤーが全員特殊能力者なのに、「スラムダンク」は、かな〜りリアルに近づけていると思います。
「バスケ始めて4ヶ月の高校生が、全国大会でジャンプシュートを成功させる」それだけ聞いたら、面白くもなんともない話だと思いませんか?それが、めちゃめちゃドラマチックになるから、不思議なんですよね…。「バスケ初めて4ヶ月で全国大会で活躍」は、まあまあ、ありえないですが、主人公が「リバウンド」(外れたシュートをキャッチする)に特化した選手であることが「ありあえなくもないな」と思わせる、井上先生のマジックだと思っています。バスケ初心者の主人公と、ワケありなメンバーたちが起こす奇跡、それがスラムダンクです。
当時、ダースベイダーばりに暗黒面に囚われていたおばDでしたが、安西先生の言葉や湘北メンバーの姿が「どすん」とストレートにハートに響いたというか。「自分で状況を変える勇気」みたいなものを、井上先生は描いている気がして「自分に足りないのはこれだ!」と腑に落ちたというか。結局、周りのせいにしても何も手に入らないんだなって。
その瞬間から、安西先生の言葉が座右の銘になり、仕事で行き詰まるたびに「山王戦」を何度となく読み返してきました。漫画にそこまで感情移入できるなんて、アホでしかないですが、ここまで読んで、おばDの精神年齢が男子中学生レベルなのが、わかっていただけましたでしょうか?
そして、なぜこの映画について書くのか、2つ目は、「広島が舞台」だから。「伝説」と言われる山王戦の舞台は、広島で行われた全国大会です。当時バスケは、山王工業のモデル「能代工業」のある秋田県が有名で、広島は、全国的に見ても強くはなかったですし、はじめてスラムダンクを読んだ時、「なんで広島?」って思いました!嬉しかったけど!?
湘北高校が泊まった「ちどり荘」は、湯来温泉に実在のモデルがあったのは有名ですし、山王戦が行われた体育館は、広島経済大学の体育館がモデルで、今回の映画にも
登場しました。「スラムダンクの聖地」としてファンの方が訪れたりするのかもしれません。おばDは、車がないので経済大学のあの坂道をチャリで登って写真を撮らせていただきました…正直、死ぬかと思いましたが。※写真右上が漫画に描かれた体育館。
「流川」(るかわ)という主人公のライバルが出て来ますが、「ナガレカワ」と間違えて呼ばれるシーンもあり、どうしてそこまで広島なのか、謎が深まるばかり。井上先生は鹿児島出身で、特に広島との関わりはオープンになってないんですよね…誰か、知っていたら教えてください!
映画「THE FIRST SLAM DUNK」については、本当に賛否両論あるようで。おばDみたいに、気持ち悪いくらいスラムダンクを愛している人間が、空白の何十年間かを埋めようとして見に行くわけですから、そりゃ、ハードルが上がってます。個人的には、やはり桜木と流川のその後が見たかった、というのが正直な気持ちです。でも、バスケのシーンは本当にかっこよかった!
全て3DCGで作っているのですが、実際のストリートバスケの選手にプレイしてもらって、モーションキャプチャーしたそうで、しかもこのアニメのために、CGを作るためのツールから開発したんだそうです。CGアニメにありがちなのっぺり感や、動きの不自然さがほとんどなくて、実際のバスケのプレイを見ているような、それでいて井上先生の画がきちんと再現されていて、今までに見たことのないような感覚でした。
そして、山王戦のクライマックスの、桜木と流川のハイタッチのシーンが、めちゃくちゃかっこいい!!これ見るだけでも「この映画を見た価値あったな」と思ってます。“リアルさ”へのこだわり、それからキャラクターへの愛情、そして、上がったハードルを物ともせず、予想外の映画を作った「自分で状況を変える勇気」。やはり、井上先生はすごい人です。ちょっと長くなってしまいましたが、おばDの「スラダン愛」に免じてお許しください。ではまた。