【おばDの映像玉手箱 】
Vol.2 ディレクターのお仕事?

【おばDの映像玉手箱 】


広島・岡山の制作会社やテレビ局のディレクターとして様々な映像制作を経験。フリーランスの映像クリエイター「おばD」こと川内美佳さんが、クリエイティブな日々で見つけた話題を綴ります。

こんにちは、映像クリエイターのおばDです。彦摩呂さんの「味の玉手箱や〜」の口調で「おばDの、映像玉手箱や〜」とご唱和していただければ幸いです。今回は第2回目ということで、私の仕事について説明します。

前回も少し触れたように、最近は“その方がかっこいい”という理由で、自分の職業を「映像クリエイター」と名乗っていますが、私の肩書きはずっと「番組ディレクター」でした。ちなみにテレビのバラエティ番組で、AD〇〇とか〇〇ディレクターとか聞いたことありませんか?ちょっと前に、テレビ朝日のナスDが有名になっていましたよね?あの「D」がディレクターって意味です。

大体、テレビ番組のスタッフは制作と技術に分かれていて、制作は内容を決めたり

演出したりする、映画でいえば監督のようなものです。一つの番組や企画は、〇プロデューサー、〇ディレクター、〇AD(アシスタントディレクター)のセットで行うことが多いです。なお、技術は最低人数がカメラマンと音声さん。必要があれば照明さんが加わります。番組の大枠は、プロデューサーが考えるのですが、1本1本の企画の内容や演出は、ディレクターがゼロから、無いアタマをひねって考えます。

みなさん、番組って1本作るのにどのくらいの時間かかるか、ご存知ですか?例えば、15分くらいの企画だったとすると、撮影にかける時間はだいたい丸一日です。たまに、15分番組だったら15分しか撮影しないと思ってる人がいますが、とんでもございません。撮影素材は軽く2〜3時間あります。ラーメン1杯を撮影するのに、最低3杯くらい作っていただき、撮影します。人間、いつも面白いことが言えるわけではありません。面白いことを言ってもらえるように、演出しながら撮影します。その中から、良いところだけを選び出し、うまいこと編集しないといけないのですが、編集作業に3日から1週間。この作業と並行して、次の番組のネタ探しと撮影をしないといけません。

大きな番組には、ネタを探すリサーチャーという人がいるのですが、地方局だとディレクターがネタを探すこともよくあります。彦摩呂さんにちなみ、グルメ番組で説明すると、「どのお店の、どのメニューを、どういう方法で紹介するか?」です。これが、マジでしんどいんですよ!

もちろん、ネタはなんでも良い訳ではありません。ネタが面白ければ、70%完成したようなものです。逆にネタが面白くなければ、いくら面白くしようとしても、「あんまり面白くなりません」と断言します!逆算すると「〇曜日までに撮影しないと、編集が間に合わない」ので、一刻も早くネタを決めないといけません。もちろん、ネタを探してオファーしても“断られる”、もしくは“ロケ日に都合が悪い”ということもあります。屋外ロケなら天気も気にしないといけません。そのため、ネタは常にいくつか考えておかないといけないのです。

ネタが決まった後のディレクターの動きは、次のとおり

1.ロケハン(撮影場所の下見)と打ち合わせ

2.番組の構成を立て、台本を書く。※書かない人もいますが、私は書く派です。

3.撮影に使う小物、演出物などの用意。※無いものは買いにいきます。

4.撮影では、リポーターやカメラマンと話し合いながら、どう撮影するかを決める。リポーターやお店の都合でケツ(タイムリミット)が決まっていることが多く、1日に何箇所か撮影する場合は、次の訪問時間に間に合うように撮影を管理する。

5.パソコンで編集作業→プロデューサーに見せる。

6.文字やCG、ナレーションなどを入れて完成。

7.放送日は、スタジオのカメラ割りや演出などを行う。

つまり、15分の企画を1本作るのに、最低でも一週間はかかります。この間、次のネタ探しやロケなどが並行して行われる→無限ループという感じです。いや、書いていて疲れたわ!(笑)。一番忙しかった時期は、1ヶ月のうち数えるくらいしか、布団で寝られませんでした。編集しながら寝落ちが日常茶飯事、徹夜は当たり前。働き方改革が問われる昨今ならば大問題ですよ!

「寝る前にブルーライトの光を見たら熟睡できない」とよく言われていますけど、寝る直前までガンガンにパソコンの画面を見ていますから、身体に良いわけがありません。編集中は、お風呂に入る時間ももったいなくなり、女子力が著しく低下します。これを読んで、おばさんにはこの仕事がキツいということが、わかっていただけましたでしょうか?最近、「AD」という呼び名がテレビ業界で廃止されたという記事を見ました。AD=長時間労働のイメージがあるからだそうです。最近は、テレビ業界も脱ブラックの流れみたいなので、みなさん、安心してください。

最後に、YouTuberもいいけど、テレビ番組を作ると1つだけいいことがあります。

それは、取材先の方や企業さん、お店の方と仲良くなれることです。「面白かった」と褒めてくださったり、定期的に連絡をくださる方もいらっしゃいます。たくさんの人との出会いが財産になります。一人ではなく、何人ものスタッフと作品を作り上げる時間は、とても楽しいです。マジで大変だったけど、ディレクターをやって、心からよかったと思っています。では、また!

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