【暮楽人(くらうど)の住まい学 】
Vol.7 広島県は耐震意識が最も低い県!?

【暮楽人(くらうど)の住まい学 】


リフォーム・リノベーション・新築・不動産のプロフェッショナル、マエダハウジング㈱の前田政登己社長が快適な住まいとライフスタイルを提案します。

1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。私はいまだ記憶に鮮明に残っています。マエダハウジングを創業した翌週に起こったこの大地震は6,434人もの大切な命を一瞬で奪いました。

亡くなった方の85%、5,500人の方が建物の倒壊による圧死で亡くなりました。直下型地震のため木造軸組みの継ぎ手が抜け構造材が折れたケースが多く、まだ早朝暗い時間帯に起きた地震のため、屋根や二階の重みで一階が潰れて、そのまま亡くなった方が多かったのです。

倒壊した家は現在の耐震基準を満たさない1981年以前に集中していました。新耐震基準は、1981年6月1日に導入されましたがそれは1978年に起きた宮城沖地震がきっかけでした。大地震のたびに日本の耐震基準は変更されています。

2003年は耐震化率が75%で耐震性のない住宅が1150万戸ありましたが、2013年の時点で住宅の耐震化率は82%まで上がっています。2025年には耐震性のない住宅を0にする方針です。

2016年4月14日に発生した熊本地震(震度7)では、住宅の全壊が8,673棟、半壊が34,726棟に及びました。この時に判明したことは、2000年以降に建てられた住宅の全壊もあったことです。

最も被害の大きかった熊本県益城町に私は地震後に入ったのですが、それは言葉にできないほど悲惨な状況でした。しかし、その後の調査で益城町には耐震等級3の住宅が16棟あり、そのうち14棟は無被害で2棟は軽微な被害で済んでいたようです。

耐震等級1や2の住宅で倒壊はしにくいですが、少し傾いただけでも、その後住み続けられなくなります。「命を守る」という点では倒壊しないことが最優先ではありますが、高額な買い物である住宅が、住み続けられないということは二重ローンの問題もあり、経済的なダメージが大きいのです。震度7クラスの地震が来ても住み続けられるためには耐震等級3の耐震性能が必要であることに気づきました。

日本で一番大きな団体である木耐協によると、1950年~2000年までに着工された2階建木造住宅の耐震調査データでは、耐震診断者のうち「耐震補強工事をした」と回答した人は2割でした。しかし、耐震診断結果27,235件のうち、倒壊する可能性が高い住宅(評価0.7未満)は74.3%、倒壊する可能性がある住宅(同0.7~1.0未満)は17.1%と、9割以上が現行の耐震性を満たしていませんでした。

1980年以前の旧耐震基準住宅では97%、新耐震基準住宅でも85%が耐震性に問題があったのです。耐震補強をしない理由の第1位は「補強費用が高い」(44.2%)、第2位は「地震が来たら仕方がない」(27.0%)でした。特に70歳を超えると3人に1人は「地震が来たら仕方がない」と考えているようです。

株式会社エヌ・シー・エヌが2019年2月18日に全国2889名にインターネット調査を行った結果によると、広島県は耐震県ランキングにおいて全国最下位と、耐震意識が最も低かったのです。理由は、地震が少ないからです。逆に言えば「住みやすい」とも言えます。熊本県も地震の被害が少ない県でした。しかし、ある日突然、大きな地震が来たらどうなるでしょうか。

熊本地震では耐震等級3の建物が見直されました。新築ではすでにありますが、リフォームでは非常に難しいとされています。耐震等級1は、震度6強から7に相当する大地震に耐えうる強度を持つように構造計算されています。

耐震等級2は、その1.25倍の耐震強度で、災害時の避難場所である学校、病院、警察などの公共施設が耐震等級2以上です。長期優良住宅認定には、耐震等級2以上が必要です。耐震等級3は、1.5倍の耐震強度で最も高いレベルであり、災害時拠点となる消防署、警察署などの耐震強度です。

普段は、何気なく暮らしている家ですが、万が一の地震に耐えうるような住宅にしましょう。本来家は安心安全で大切な家族の命を守るべきものです。万が一の時に凶器にならないように、まずは耐震に対する意識から見直してみましょう。

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●築45年「断熱・耐震を考え 寒冷地で快適に暮らせる実家リフォーム」の事例はこちら
https://www.maedahousing.co.jp/200/20000/k_3.html

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