中古リノベーション

【暮楽人(くらうど)の住まい学 】
Vol.2 六花亭小田豊亭主の提言

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【暮楽人(くらうど)の住まい学 】


リフォーム・リノベーション・新築・不動産のプロフェッショナル、マエダハウジング㈱の前田政登己社長が快適な住まいとライフスタイルを提案します。

私は、六花亭の「マルセイバターサンド」が大好きです。北海道に行ったときや北海道展があれば必ず買って帰ります。ホワイトチョコレートとレーズン、バターという夢のような組み合わせで、ビスケットはサクサクで本当に美味しい。書いている今も食べたいくらいですが、ダイエット中なので今はちょっと控えています。

マルセイバターサンド

小川軒の「レイズンウィッチ」も好きなのですが、「マルセイバターサンド」のほうが後かららしいですね。おやつとしては最高です。その六花亭亭主の小田豊さんが、先日「日経ビジネス」9月7日号で「社員に中古住宅を買いましょう」と呼び掛けているという話が掲載されていました。

六花亭では、社員に対して助成金を付けて中古住宅の購入やリフォームを勧めています。小田さんは「人口減少によって住宅が余っているにも関わらず多くの人が高いお金を出して新築を建てて一生ローンを払い続けている。もっと、割安な中古住宅を活用すべきだ」と語っています。

確かに人口減少している中で、いまだ新築着工戸数は先進国の中で高水準です。日本には住宅の総量規制がなく、経済施策として住関連のものも多く、何故なら、住宅産業の裾野は広く関わる人が多いためです。その結果、空き家は右肩上がりに増え、2018年10月時点で過去最高の13.6%、849万戸となりました。2030年には、空き家率30%を超えると予測されています。

政府もこの状態を危惧して、2006年に住生活基本法にて「フローからストックへ」という方針を出しました。「どんどん壊して建て替えるよりも、今ある中古住宅をリフォームして住もう」という方針で、私たちもその方針に沿って、この14年中古リノベーションを勧めてきました。

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しかし、2015年の相続税改正時には、ハウスメーカーやビルダーがこぞってアパート建設ラッシュを行い、その結果、空室率も上がり空き家がさらに増えていきました。ヨーロッパと違い、日本では新築偏重主義と経済優先の考えで古いものが取り壊されていきます。

先日も、あるお客様から築125年の古民家を解体して、分譲住宅を建てる予定なのだが古材を使えないかという相談がありました。高齢な夫婦二人では広い家は管理するのが大変で小さな家に住み替えようと思ったようです。

そう思って不動産屋さんに相談したところ、今の家を解体して分譲住宅を何棟か建てて販売する計画を提案されました。しかし、だんだん自分の親も生まれたこの家を解体して処分することがもったいなくなったようです。

以前、古い家から古材を丁寧にとって、新築の注文住宅に使ったことがあります。古材には、「歴史」や「思い出」という要素が入った世界でたった一つの素材です。二度と手に入らないものですから、本当は大切に使い続けたいものです。

古材を生かしたリフォーム

コロナ禍で企業を継続させるために小田亭主は、「企業が続いていくためにはフローよりストックを重視すべき」「新しいことよりも時間とともに熟成することが価値ある時代」「売上を追うのではなく地域のため、従業員のため永続を追求していく」と語っています。

企業は新たな売上やお客様よりも、今までのお客様に目を向けるべきでしょう。もう、大量生産大量消費ではなく、地域のストックを重視する時代です。また、時間とともに熟成するということに価値を見出す時代になるでしょう。最近では、肉や魚にも「熟成」を見かけるようになりました。

そして、目の前の売上ではなく地域のため、社員のため、取引先のために永く続くことを前提に考えたほうがいいでしょう。私たちのビジョンは「地域で輝く100年企業になる」です。今27年目ですが、70年後私はこの世にいません。それでも地域で必要とされるにはどうすればいいかを考えています。

コロナによって一気にデジタルシフトしました。決して今までなかったものが出てきたのではなく、この2~3年言われ続けていたことが一気に加速しただけです。コロナによって本質を追求しているところしか生き残れないのではとも言われています。

マルセイバターサンドは「お土産」ではなく「おやつ」だそうです。六花亭も「おやつ屋さん」が本質だそうです。「美味しさ」「価格」「デザイン」のバランスを考えた身近なおやつ、私たちもそんな企業を目指していきたいと考えています

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