【カメラマンかく語りき 】
Vol.4 ドローンに思うこと

【カメラマンかく語りき 】


呉市在住。グラフィックデザイナーを経て家業のカメラ店を継ぎ、現在は地元におけるドローン撮影の第一人者としても幅広く活躍中のプロカメラマン石田伸二氏の楽しいコラムです

HIROSHIMA PERSONの読者の中にはドローンに興味ある人も多いかと思います。

2020年現在、ドローンは完全に市民権を獲得し、撮影業界のみならず農業や公共事業、今後は運送業や空飛ぶタクシーなど、様々な分野で進化しようとしているイノベーションツールになりました。

そんなドローンという名が一般的に有名になったのは、2015年4月に首相官邸屋上に未確認ドローンが墜落した「首相官邸ドローン落下事件」でしょう。他にもドローン少年が長野市の善光寺で7年に一度の「御開帳」の神事が行われてる最中に墜落させたことがあり、ドローンを使う者=「悪者のレッテル」が貼られ、現在の無人航空機航空法(以下航空法)が出来る引き金となる2大事件が勃発しました。

ドローン少年は全くもってどうでもいいんだけど、首相官邸屋上に墜落した未確認ドローンの画像がニュースに出た時、僕らドローン仲間の間でざわついたんだよね。

なぜかって?当時は、まだ航空法が無いドローン界において街中とかで飛ばすのもゆるかったし、改造も結構自由で特に映像転送装置なんかは1~2万円程度の安価な海外製が主流(日本国内で使用するには特別な許可がいる)な時代。墜落させた犯人はご丁寧にも、白いボディーを綺麗に黒に塗って、人や物に当たったら大変と安全性を考えプロペラガードを装着し、飛びを良くするために純正のプラ製プロペラからソリッドな動きになるカーボン製プロペラに交換、さらにカメラを操作する電動ジンバルにGoProカメラを装着して20万近い価格のメーカー純正の日本国内適応映像転送装置を積んでいたのだ!普通テロに使うのなら出来るだけ安く仕上げて突撃仕様に仕上げると思うが…。

ちなみに映像転送装置の海外製と国内対応製の違いを説明すると、海外製はアナログ電波のため飛んでくる画質は悪いけど、価格の安さと映像が途切れにくいのが特徴。日本で使うには色々と法的に大変なのに対して、国内適応製は小型かつ軽量なフルHD映像伝送装置で、1920×1080/30fpsの高画質フルHD映像を2.4GHz帯無線通信を使用して最大1.2km(遮蔽物の無い状態)の長距離伝送が可能だったけど、価格が20万円と、とにかく高嶺の花のカスタムだった(※2014年の頃の価格)。

墜落したドローンの写真から推測すると、この犯人はすごくラジコンなどの工作が得意で真面目なオタクなのだと思う。配線処理も丁寧だし、ドローンカスタムの知識も相当なもの。きっと周りになんでも話せるドローン仲間がいて、一緒に飛ばす時やご飯の特に政治や政治家の悪口でも言いながら「あはは」と笑う余裕があれば、こんなテロ行為に走ることもなかったんじゃないかな。

色んな犯罪でも言えることだが、孤独になるからおかしなことを考え出すようになるけど、近くに寄り添う家族や楽しい仲間がいるだけで考え方や行動も違ってくるもんだし、道を誤らなければとても楽しいドローン友達になれたかもしれないなと当時は思った。

もし、読者の中で「ドローンを飛ばしてるけど、1人で寂しい」「みんなで一緒に遊びたい」とか思う人がいたらHIROSHIMA PERSON「カメラマンかく語りき」宛にご連絡をください(笑)。ぜひ一緒に遊びましょう。そしていつか仲間が増えたらオフ会とか出来たら楽しいね!

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