【カメラマンかく語りき 】
Vol.14 二足のわらじを履く話

【カメラマンかく語りき 】


呉市在住。グラフィックデザイナーを経て家業のカメラ店を継ぎ、現在は地元におけるドローン撮影の第一人者としても幅広く活躍中のプロカメラマン石田伸二氏の楽しいコラムです

皆様、あけましておめでとうございます。本年も引き続きよろしくお願いいたします。
年初めのコラムとして何が良いかと考えたが今取り組んでいる仕事について話します。

「二足のわらじ」という言葉はその語源からいえば否定的なイメージがあるらしい。もともと、江戸時代にばくち打ちの一部がそれ取り締まる岡っ引きの役割も担った事に由来するらしい。今の時代であれば肯定的な意味合いで使われることが多く、日本的な雇用慣行が崩れてきたうえ、政府が働き方改革の一環として、兼業や副業を後押ししているのが一つの要因かもしれない。

実は筆者も去年の3月から本格的に「二足のわらじ」を履いている。プロカメラマンに加え、珈琲焙煎士(カフェ運営含む)になった。カメラマンとしての石田しか存じない方は驚かれるかもしれないけど、今の自分の人生に必要な仕事になってる。なぜ始めたのか?

カメラマンという仕事は「体力」「視力」「想像力」その時代の流行に沿った写真や映像を撮らないといけない。最新デジタルの勉強もしないと良い仕事が出来なくなるので、カメラマンはとにかく大変なのである。そんな仕事がいつまで出来るのか?を考えると同時に「老後」をどう楽しく過ごすのか?というテーマが頭をよぎった。

筆者ももう少しで50歳の半ばになる。あれよ、あれよと言う間にだ。人生100年時代になったとはいえ、元気に過ごせる時間がどれくらいあるのかは判らない。ならば今から楽しい老後が過ごせるように準備し、好きなことを仕事(という遊び?)にしようと考えたのが、今からコーヒー屋を始めるって事につながる。

ただ、筆者はカフェやレストランなので務めた事もバイトもしたことがない。そう、飲食業が未経験である。そんなヤツにカフェ運営が出来るのか?そもそも、飲食店の許可ってどうやって取得するんだ?考え出したら疑問だらけで、何から手をつけたらいいのか…。さらに予算がとにかく無いので店内などの工作は基本DIYで出来ることは自分でやる!許可は保健所で取得できると聞いたので、とにかく通って判らない事は教えてもらう。

ここで学んだ事は「保健所とケンカしない」。これ大事!最初は融通が利かないってイライラしたことあるけど、冷静に考えたら当たり前の事を助言してくれてるんだよね。おかげで担当者の若い女性(ここ大事⁉)とも気軽に相談できるくらいに仲良く慣れたし、親身に相談に乗ってくれる。特に自分が店舗を構える呉市は飲食業をやる時に審査が広島市や東広島市より厳格で厳しい事で業界では知られてるらしく、自家焙煎コーヒー屋で豆販売をやるにしても、広島市だと自宅の台所で営業許可のOKが出るが呉市だと許可が難しいんです。ちなみに2022年時点での話では各地域の保健所判断みたい。

なので、マイクロロースター(※自宅でコーヒー豆を焙煎して販売)は県外には沢山いるけど、呉市ではほとんど居ない理由がわかった。ただね、コーヒーとはいえ、口に入る食品を扱う以上、厳しい審査に通ったお店で買う方が絶対安心だと思うのは僕だけか? そんな自分でもいろんな方の助言や手伝いで1年かけて作ったカフェが保健所の厳しい審査にも通り、無事にオープンさせることができました。

次回は飲食未経験の自分がカフェをどう運用してカメラマンの仕事と両立していくのかの話をしたいと思います。

筆者が運営するカフェ

「灰ヶ峰COFFEE ROASTERY」
https://haigaminecof.base.shop

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