【カメラマンかく語りき 】
Vol.18 撮影現場で大声を出すのは時代遅れの話

【カメラマンかく語りき 】


呉市在住。グラフィックデザイナーを経て家業のカメラ店を継ぎ、現在は地元におけるドローン撮影の第一人者としても幅広く活躍中のプロカメラマン石田伸二氏の楽しいコラムです

「REC回りました!」「本番入りまーす!」「アクション!!」「はい、カット!!!」映画・ドラマ・CMなどの撮影ではお決まりのセリフで、読者の皆様も聞いた事あるフレーズじゃないですかね。時に監督の怒号のような大声が響く現場は、緊迫感と共に非常に活気がある空間です。

自分もそうした現場にカメラマンで幾度となく入り、ピリピリした感じを体感したことがあるけど実は嫌いではない。なぜって?プロ中のプロって言う制作現場に自分もその一員として身をおく事はプロフェッショナルとして認められて、呼ばれてるって感じられるからね。

ただ、現場の掛け声や雰囲気が変わりつつあるんですよ。最近の若い監督やプロデューサーやカメラマンが仕切る現場はそんな大声を出さず小声でヒソヒソやり取りしている。「そんなのでみんなに指示できるんかい?」それができるんですよ。そう、最近の撮影現場では当たり前になりつつある大人気のワイヤレスインカム「Hollyland Solidcom C1」。これまでもインカムは現場にはあったんだけど、購入するにも値段がすごく高かったり電波の飛びが悪かったりと導入するにはハードルが高かった。

でも、Solidcom C1は価格もお求めやすく、設定も簡単で同時に何人とも話せて飛びも350mとヘッドインカムの常識を変えた商品。それをみんなが装着して、進行具合やアングル決めや撮影指示などのやり取りをヒソヒソと話している。大規模な写真撮影現場、ミュージック系やプロモーション系の現場でも、監督、ディレクター、プロデューサー、カメラマン、ドローンパイロット(自分ね)、アシスタントなどなどみんなインカムを装着し同時で話を進めていく。

とても優秀なインカムのおかげで大声を張り上げる事なく、100mくらい先にいる監督やカメラマンにディレクターがモニターを見ながら指示を出したり、カメラマンに指示を出しつつドローン担当の僕にアングルのイメージを共有したりをお互いが近寄ってこなくても、仕事が出来るのが「スマートな現場」って感じでカッコいい(笑) こんなクリエイティブな現場好き!

ただ、全く問題がないわけではない。これまでは声が飛んでた現場に立ち会う関係者(スポンサーや職員など)も、「本番入りまーす!」「アクション!!」などと聞こえていたから、身構えたり、ジッとして静かにするのが分かるけど、少し監督から離れていたらインカムを付けていない人は聞こえないから油断していると「あれ?いつの間にか撮影始まってる?」みたいな事になったりする(かも)。なので、そこはアシスタントがしっかり関係者に周知する必要が出てきたよね。自分としては昔ながらの賑やかな現場も好きだが、このインカムのおかげで遠くにいても意思疎通が十分に取れる新しい機材の導入は必要だと思います。

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