【カメラマンかく語りき 】
Vol.19 また日本初の撮影をしちゃった話

【カメラマンかく語りき 】


呉市在住。グラフィックデザイナーを経て家業のカメラ店を継ぎ、現在は地元におけるドローン撮影の第一人者としても幅広く活躍中のプロカメラマン石田伸二氏の楽しいコラムです

【令和6年石川県能登半島地震で被災された皆様へ】

この度の石川県能登地方を震源とする地震により被害を受けられた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に心からお悔やみを申し上げます。

広島の片隅で地域密着型の撮影活動をしている無名カメラマンが「そんなヤツが日本初の撮影?笑わせるな!」と、お思いの方も多いと思いますが呉在住だから出来る仕事もあったりするんですよね。自分が住んでるエリアは海上自衛隊呉総監部があり、全国から海自好きな方が多く訪れて、全国でもこんな近くで潜水艦や護衛艦が見れる自衛隊は珍しいみたい。

そんなエリアで仕事をしているから、お声がけをいただくことも多く、これまでも自衛隊に関する撮影は結構撮ってて、空母化に改修された護衛艦「加賀」の撮影で甲板からドローンを離発着させたり、輸送艦「おおすみ」や潜水艦もドローンで撮影してたりします。※正式なドローン撮影では日本初⁉。全て特別な許可と法律の元での業務になります。

そんなこんなで、またまたお声がけいただき県外で行われた海上自衛隊の演習に撮影に行きました。「今度は何を撮るんだろー?」と話を聞いてみると…。あら、すごいじゃん!!ホーバークラフト型のエアクッション艇・通称「LCAC(エルキャック)」でした。日本に6艇のみ。変な表現ですまんが、かなりのレアキャラで、中々人目に触れる機会も少なく、普段は「おおすみ」「しもきた」「くにさき」に格納されてて、作戦開始の時にハッチが開いて海にバザーンって出てくる姿がカッコいい!まさにサンダーバードの世界です。

まだまだ記憶に新しい広島や岡山を襲った「西日本豪雨災害」や、今年1月1日に石川県を襲った「能登半島地震」の災害も支援活動をするために呉基地から現地に向かったエルキャック部隊。そんな先鋭部隊の撮影に公式カメラマンとしてご指名いただけたことに感謝!チャンスは2日間。ガチの演習中なので当然邪魔も出来ないし、どんなタイムスケジュールや動きをするのかも知らされないまま、まず初日の数時間は観察のため様子見。

このタイミングでなら撮れる、撮れないを部隊を仕切る隊員の方(多分えらい人)と打ち合わせしながらスチールカメラに望遠レンズを付けて撮りまくります。ある程度動きが読めたから、今度はドローンを取り出し撮影に挑みます!ちなみにエルキャックをドローンで公式に撮影するのも日本初⁉。

機体の後方には巨大扇風機のようなプロペラや、方向を変えるため自由に動く噴射口があったり、その風圧はマトモに食らえば距離があっても人が軽く吹き飛ぶくらいの力があるので、風圧のエリアに入ったらドローンなんか一発で墜落ってこともある。これまで色んな撮影を経験してきたが全く次元が違うので近づくことは難しい。プロペラや噴射口の方向や角度を見ながらドローンを自在に操り飛行を繰り返すこと10フライト。

これまで誰も見たことがない海の上を水しぶきで出来た虹をバックに走るアングルや、陸地から海上に全力スピードで出て行く姿など色々と「初写真&動画」を収めることができました。今後は、その素材が自衛隊の広報など、色んな場所で使われる予定です。なお、第一弾グッズとなった「エルキャック部隊2024年カレンダー」は、数百枚刷った初版分はすぐに売り切れて、増刷決定したとのこと。ありがたや!

この度の能登半島地震でも“港が破壊されて船が着岸出来ない災害もエアクッション艇なら上陸出来るので数多くの支援が可能”と伝えるニュース映像を見て、このような部隊撮影に関われたことに感謝すると共に、被災地域の一日も早い復興をお祈りいたします。

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