【カメラマンかく語りき 】
Vol.7 映画撮影もリモートの時代に突入!

【カメラマンかく語りき 】


呉市在住。グラフィックデザイナーを経て家業のカメラ店を継ぎ、現在は地元におけるドローン撮影の第一人者としても幅広く活躍中のプロカメラマン石田伸二氏の楽しいコラムです

以前に仕事をしたことがある映画制作会社のYさんから携帯電話に着信が入った。

(Y) 「お久しぶりです!コロナ禍の間のお仕事はどんな感じでしたか?」

(石) 「大変ですが、何とか仕事いただいて頑張ってます」

みたいな近況をお互いが話ながら5分ほど世間話をしたあとで、

(Y) 「実は~、もう本番撮影は終了して編集作業中なんですが、監督がどうしても気にいらない場面があって…云々」

おっ?こりゃ愚痴を聞かされるのか?と、おとなしく話を頷きながら聞いていると

(Y) 「それでドローン撮影の依頼をお願いしたいと思って」

と、いきなり本題に急ハンドル!「よし!キタキタ♪」と、心の中で小躍りをしつつ、電話の口調は「あー、今なら来週の〇〇日であれば融通が利きますよ」と、売れっ子カメラマンのようなことを口走っている自分。

あっ、自分の名誉のために言うと、指定されたその週は本当に1日くらいしか空いてなかったんです。

(石) 「じゃ、Yさんとか、監督は広島に来られるんですか?」となりますよね? 

(Y) 「あ、コロナ禍だし、緊急事態宣言中だし、そちらにご迷惑をおかけしてもマズイので行けません」

ムムム…おっと雲行きが怪しいぞ。

(石) 「え?そちらの関係者が現場に居ないと、どういった画を撮っていいかわからないよー」

(Y) 「なので、カメラの映像をモニターに映してもらえたら画面越しに指示します」

(石) 「なるほど!でもモニターからはネット配信できないのですが」

(Y) 「line電話を活用してスマホのカメラで画面を映して見せてください!」

あはは。リモートと言えば最新の仕事術に思えるが、画面をスマホで撮って見せるやり方は、まるで昔にラジオ番組をラジカセで静かにしながら録音していた、その行為に似ている。でも、実際にその方法でやったら、案外スムーズに仕事が進むのよ!

撮り方の指示もline電話越しではあるが、リアルタイムに指示が来て、まるで近くにいるかのように聞こえるし、逆に向こうのスタッフがたくさん集まって協議してるのも聞こえる。東京と広島で繋いでいるけど、こんな感じで撮影の仕事が出来る時代になったんだなー。

もちろん、リアルに会って現場感を感じる方が、より良い緊張感もあるし、仕上がり感も違うとは思うけど、人が集まれない現状で、最善の方法がリモート撮影なのは理解出来る。撮影の全てがリモートで出来るわけではないんだけど、風景カットや演者と絡まないカットなら、むしろリモートがいいんじゃないかな!

東京からの移動費用のコストカットにも繋がるけど、僕の撮影費のコストカットまでやるのはやめてね(笑)。

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