【渓流を訪ねて 】
Vol.2 フライフィッシングの快楽

【渓流を訪ねて 】


渓流釣り、海釣り、キャンプ、軽登山など、自然の中での「遊びの達人」がアウトドアの楽しみ方を指南します!

第1回では“渓流と釣りの魅力”と題して「フライ(毛鉤)を水面にふわりと落とした」で続く―としたが、広島は8月末で禁漁となった。今は渓魚の恋の真っ只中である。本当はシーズン中に書きたかったのだが、そうは行かず…でも頑張って続きを書きます!

渓流釣りには偏光サングラスが欠かせない。偏光サングラスとは、レンズの間に乱反射光を一定方向の光線のみ透過させられる“偏光フィルム”を挟んだレンズのサングラスで、釣りにおいては水面のギラギラを無くすので、川の中の岩などが見えて遡行も安全、また泳いでいる魚が見えたりする利点も。何が言いたいかは後々と、いうかすぐに分かります(笑)。

さあ、イメージして続けます。とりあえず10m、渓魚が居そうな流れのその先の水面にフライを落として目で追う。当たり前だがフライは上流から下流に向かって流れてくる、つまり自分の方へ。ここからのドキドキ感は半端ない。「うまく本物の虫のように流れてるな」「そろそろ魚が居そうな場所に来るぞ」。

パクッ‼ 渓魚が水面を割って出た。近くの岩からスッとフライ目がけて走る姿も見えた。息をのむ瞬間というのはこのことを言うのでは?即座に右手でロッドを立て、左手でラインを引っ張って合わせる。掛けるというのが正しいのかもしれない。渓魚は賢くて、偽物の餌と分かればもののコンマ数秒でそれを吐き出すのだ。これが餌釣りと違うところ。だから合わせる(掛ける)。

ロッドから魚に繋がるラインがピンと張る「よっしゃ!」と声が出る。ロッドが曲がりその重さと魚が抵抗したり、走る様子がロッドを通して右手にビンビン!と伝わる。リールはあるが、そうそうは使わない。フライフィッシングはアナログなのだ。ロッドを立てたまま、左手でラインを何度も何度も手繰り寄せて、魚もこちらに寄せて、寄せて、寄せて、足元まで寄せたら、左手でネット(※たも)を水中に入れてキャッチ!「おぉ、アマゴだ。そこそこのサイズ。ひれピンで綺麗なじゃん」。ようやくご対面できた記念にスマホで魚をパシャパシャ撮ってリリース。「バイバイ、また来るよー。それまでもっと大きくなってね」。

第1回からここまでが渓流釣り、フライフィッシングの一連の流れ、これらがあってからこそ一匹釣れた時の感動は大きい。下手くそな表現の文章だったので、リアルにイメージしてもらえただろうか?

もちろん毎回のキャストで釣れるということはない。掛け損なう時もあるし、魚が全然フライに出てくれない時もある。「なぜだろう?魚が居ないのか?活性化してないのか?このフライじゃ食ってくれないのか?流し方が下手なのだろうか?」と考えることはしょっちゅう。しかし、不思議とストレスにはならないのだ。ゴルフだったりすると、上手くいかないとイライラが募ってしまう。

たぶんそれは、日常生活にはない渓流という自然豊かな環境が自分を癒してくれているからだと思う。コンビニで買った普通のおむすびが最高に美味しかったり、何キロ歩いても心地良い疲労感で済むのは、そのおかげかも知れない。渓流とフライフィッシングのことを語り出したら止まらない。文章でうまく伝えるのはとても難しいが、それが“渓流と釣りの魅力”なのかな。

次回もオフシーズン、第3回は少し趣向を変えて「渓流で熊さんに出会った♪」です。乞うご期待!

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