【伊達男が行く! 】
Vol.3 ダブルブレステッドを着こなす

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人は見た目が9割、おしゃれは女性に限らず、男性も心掛けるべし!ビジネスやライフスタイルに合わせたハイセンスなファッションについて紳士服のプロフェッショナルが指南いたします。

スーツやジャケットの形を特徴づける種類のひとつに、「シングルブレステッド」と「ダブルブレステッド」というものがあります。ブレステッドという言葉にはあまり聞き覚えはないかもしれませんが、一般的に「シングル」と「ダブル」といえばイメージが湧きやすくなるかもしれません。

上着の前の打ち合わせをシンプルにボタンで留めるだけのものが「シングルブレステッド」。これは一番よく見かけるビジネススーツの形です。それに対し打ち合わせが大きく重なり、ボタンを留めると前身頃が二重になっているものを「ダブルブレステッド」と呼びますちなみにブレステッドのブレストというのは「胸」という意味があります。

最近気になり始めた方もいらっしゃるかもしれませんが、じつはダブルブレステッドの歴史は古く、一説によると原型のようなものが見られ始めたのは1700年頃と言われています。スーツやコート関連の多くがそうであるように、ダブルブレステッドのも軍用のコートが由来と言われています。そのあたりの由来や歴史は、ネットで調べるとかなりヒットするので気になる方は調べてみていただくことにして、せっかくなので実用の際に気を付けたいことなどを少しご紹介してみます。

日本でダブルブレステッドというと、いわゆる略礼服のイメージが強いかもしれません。慶事や弔事で親戚のおじさんが着ていたあれです。もちろんあれもダブルブレステッドです。ただ最近街で時々見かけるダブルの上着とはやや違うところがあります。

一番の違いはボタンの数とつけ方です。略礼服のボタンは「4ボタン1つ掛け」というスタイルです。

2列になったボタンの向かって左下のみを留めることになりますが、ボタンを留める位置がウエストラインよりかなり下にくるため、どっしりとした印象になります。昨今のダブルのスーツで多く見かけるのは「6ボタン2つ掛け」というスタイルです。縦に列になったボタンのうち、向かって左の真ん中と下のボタンを留めることになります。ただ実際には、左下のボタンは留めないので、中段のボタンのみを留めることになります。上の段の2つのボタンは飾りで留めることはありません。

このスタイルの良いところは、実際にボタンを留めるところがウエストラインに近くなるため、ウエストの絞りを付けやすいところです。下手をすると、ずん胴になりがちなダブルブレステッドをややシャープに着こなすことができます。

オーダーでスーツやジャケットを仕立てられている方は、このデザインについては変更可能です。私たちのテーラーでも「4ボタン2つ掛け」や「6ボタン3つ掛け」等のように、さらに変化をつけていくこともできます。もう一つ気を付けることがあるとすれば、丈の長さでしょうか。既製品で販売されているものはどうしようもないですが、オーダーの場合は長さなどももちろん決めることができます。

ここからは少しマニアックというか、テーラーの秘伝レシピ的な分野に入ってくるのですが、一般的にスーツの着丈の長さというのは格好よく見えるストライクゾーンみたいなのがあります。首のあたりにある第七頸椎から地面までの長さを総丈と呼んだりするのですが、一般的なシングルのスーツの場合、格好よく見える着丈の長さは【総丈÷2-(2~5)】cm程度です。

つまり第七頸椎あたりから床までの長さの半分より2~5cm程度短い着丈が格好良いゾーンと言えるわけです。もちろん、個々人の足の長さや胴体の長さによっても変わってくるのでこの範囲をあえて外すこともあります。大柄な方や肥満体型の方にこの基準をあてると、やや着丈が短く見えてしまうので少し長くしたりもします。

ダブルブレステッドのスーツに話を戻しますが、ダブルのスーツの場合、やや長くとるとバランスがよく見えることが多いです。とはいえ、よほどのことがないと総丈÷2より長くすることはありません。着丈というのは短いと軽快な印象になり、長いと落ち着いた印象になりますが、ダブルブレステッドというのは構造的に軽快なものではないため、あまり短くしすぎない方が良いというわけです。

他にも細かいところを言えば、合わせて胴の絞りを、絞る方がいいのか広げる方がいいのかとか、袖の幅をどうすると格好良いのかとか、キリがないといえばキリがないです。このあたりのレシピは、オーダーを扱うテーラーさんであれば、おそらくお店ごとにあって、そのあたりお店の味になってきたりするので、いつも通ってらっしゃるお店があれば聞いてみられるのもいいかもしれません。

ファストファッションが全盛の昨今、ビジネスで着られない方にとってはスーツのようなクラシカルなものを着られる機会は減っているかもしれませんが、たまにしか着ないのであれば、少しこだわってみるのも面白いかもしれませんね。

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