
“あなたと共に歩む。未来を託せる政治へ”をモットーに東広島市議会議員を務めている鍋島勢理さん。東京で様々な活動をされた後、Uターンをして議員に。「人と人・人とまちを繋げる接着剤として活動していくことをお約束したい」と話す鍋島議員の議員生活や東広島市での活動などについてインタビューしました。
―プロフィールについてお聞かせください。
1991年に東広島市で生まれ、高校を卒業するまで東広島で暮らしていました。高校生の頃には報道の仕事に憧れがあり、「報道の職に就くなら東京に行かないと!」と使命感に駆られて「青山学院大学」へ進学。2011年に発生した東日本大震災を機に、「原発ひとつをとっても賛否が分かれるのはなぜだろう?」と関心を持ち、大学ではエネルギーについて学びました。エネルギー政策は単純なものではなく、技術開発や地政学的な側面、地域とのコミュニケーションのほか、経済的な合理性や環境負荷など多様な視点が必要ですので、より深く学びたいと思い、海外留学も経験しました。学びだけではなく、事業者の立場で社会の血液であるエネルギー分野に関わりたいという思いから、「東京電力ホールディングス」に就職。その後独立して、デジタル化の旗振り役となるCDO(Chief Digital Officer)を対象としたプラットフォーム「一般社団法人CDO Club Japan」を設立に参画し、海外広報担当として日本企業のデジタル化の潮流を諸外国に伝えるなど充実した毎日を送っていました。そんな中、2019年の11月、父が大動脈解離で倒れたんです。時を同じくして、新型コロナウイルスの影響で暮らしが一変し、そして広島-東京の往来にも疲弊していたこともあり、「これも運命かもしれない」と、同年Uターン。東広島に戻ってからは、東広島市役所の会計年度職員として働いた後、広島県庁に勤務しました。
―東広島市議会議員になられたきっかけは?
留学時代、日本を客観的に見た時に「このままで大丈夫なのだろうか?」と未来を憂いたと同時に、「自分に何ができるのだろうか?」とずっと考えていたこともあり、政治に関心はありました。帰省のたびに「市議会議員にならないの?」という声は頂いていましたが、自分ごととして政治に携わる時期は定まっていませんでしたし、約10年故郷を離れていたこともあって、議員であれば熟知できているはずの市の現状を把握できていなくて。行政の仕事に携わる中で地域の魅力や可能性、そして課題を知ることができました。広島県庁での仕事やメンバーにはとても恵まれていたので、「このタイミングにするか?」と正直、かなり悩んで。ただ、「人生は一度きりだし、後悔はしたくない。この年齢だからこそできることはあるはず!」と心を決めました。

子どもの時に曽祖母や祖母について地域の行事に参加していた程度で、顔も知ってもらえていない私に対して、「“ぽっと出”はダメじゃ」という厳しい意見もありました。しかし、退路を断って挑戦した私はもうやるしかありません。YouTubeでの動画配信やInstagramでのライブ配信のほか、地域を一軒一軒ポスティングして回り、駅での挨拶運動などできることを行いました。西高屋駅での挨拶運動では、中高生たちが私に興味を持ってくれて、若い世代の間でも「誰に投票するの?」という会話が生まれていたようです。私の活動が子ども同士や家族で政治について話すきっかけになったことは嬉しかったですね。
―どのような政策に取り組まれているんですか?
「人づくり」、「仕事づくり」、「地域の繋がりづくり」の3つの「つくる」を掲げていて、特に今注力していることは「地域福祉」と「国際化」です。障がいの有無に関わらず全ての人にとって暮らしやすい地域にするため、ユニバーサルデザインに配慮したトイレの環境整備や社会全体での子育てを応援するための里親制度の推進、そして、コミュニティソーシャルワーカーの増員などに取り組んでいます。また、東広島市は海外にルーツのある市民の割合が高い自治体ですので、外国人留学生、技能実習生の受入れ企業のほか、外国人支援に取り組まれている方々などと対話し、多文化共生のためにできることを提案しています。2024年11月からは、東広島市職員のネームプレートの漢字表記がひらがな・ローマ字併記に変更され、窓口に訪れた外国人が親しみを持ちやすくなったそうです。このほかにも、議会での多文化共生への理解をより深めるきっかけになればと同僚議員と相談し、議員向けのやさしい日本語研修や外国人との交流会なども開催されました。

また、自分が政治家の中では年齢が比較的若いからこそ、Uターン層を増やしたり可能性を最大限発揮できる仕事を作ったりしたいという思いから、人口減少対策にも取り組んでいます。例えば定例会において、「Uターン層をいかに増やすか」、「移住支援金制度の利用の簡易化」などについて取り上げたところ、市として検討段階にあったことから事業が前進しました。移住定住者を増やす施策を各自治体は進めていますが、ライフスタイルの変化や二地域居住も進む中で、「移住定住」の概念のアップデートも必要かと考えており、市民から生の声を聞くためにも、タウンミーティングや「語る会」など直接対話できる機会を多く設けるように心掛けています。また、東広島に住み続けたいけど、能力が活かせる仕事や自己実現ができる仕事がないことを理由に仕方なく他の市に流出してしまうというのは本当に勿体ない。そこでこの点についても、市としての就労支援を促進するべきだと取り上げています。
―鍋島議員の強みは?
何事も前向きに挑戦する気持ちです。東広島市議会では、「議会の政策提言機能と議会の発信力を高め、二元代表制の一翼を担うにふさわしい議会にしていきたい」という議長の思いもあり、定例会での一般質問を政策につなげる取組みが進んでいます。「自分の政策を推し進める貴重なチャンスは無駄にしてはならない!」と思い、障がいの有無に関わらず誰にとっても使いやすいトイレのユニバーサルデザイン化の取組みを推薦したところ、同取組み初のテーマに選んでいただき、議会運営委員会の決議案として決議されました。

―女性議員の活躍が注目されることが増えてきたように感じます。
暮らしに直結する政治の場に、より多くの女性が参加していることはすごくいい傾向です。女性の政治参加が進めば進むほど、女性議員の周りの女性たちも、政治家にならずとも政治に関心を持ち、応援や声を届けるという形で政治に参加する機会が増えるのではないでしょうか。また、民間企業でもダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂性)が進んでいるように、女性のみならず多様な人々が共に働く環境がどんどん整備されてきているので、行政や議会、あるいはまちづくりの場においても、様々な立場の人々が関わっていくことは大切です。
―議員として大事にしていることは?
傾聴することです。行政が進める事業は経済や観光、福祉、子育て、環境など多岐にわたりますが、全てを詳細まで把握できているわけではないので、詳しい方や利用者の方にお話を聞かせていただいています。また、一つの事象に対して意見の違いがあることは当然であり、むしろ健全ですので、意見の背景にある思いやバックグラウンドを推察することも大切にしています。

―最後に、今後の意気込みをお聞かせください!
今住んでいる市民のみなさんが幸せを感じ、ずっと暮らしたいと思える東広島市にしたいです。行政が取り組んでいることでも、まだ不十分なところはあると思うので、私が議員の立場で市民の声を聞いて行政に届けていきたい。「みんなで頑張っていこう!」とよく口にするんですが、市民、民間企業、行政、議会、大学や関係機関など東広島市全体で役割分担をして自分たちの街をより良くするのが目標です。国内外で様々なリスクが生じており、今後ますます混沌とした時代に突入します。地域として生き残り、市民のみなさんの暮らしを守っていくためには、過去に対する敬意を大切にしつつ、未来に対する責任を持ち考え方をアップデートしていかなければなりません。私たちの世代で若者が政治に関心を持って共に取り組んでいけるような環境を作っていき、未来への種まきをしていきたいですね。
●プロフィール

鍋島勢理(なべしませり)
1991年、広島県東広島市生まれ。
東広島市議会議員(会派・未来の風)
【お問い合わせ】
●事務所名 なべしませり後援会事務所
●連絡先 mail nabeshimakouenkai@gmail.com
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