【防災を学ぶ 】
Vol.2 コロナ禍の災害・緊急時対応

【防災を学ぶ 】


平成最大の豪雨災害として広島に甚大な被害をもたらした2018年の西日本豪雨(気象庁命名=平成30年7月豪雨)、そして今年20120年夏の記録的な豪雨…我々の生活はいつ自然災害に襲われてもおかしくありません。備えあれば憂いなし、防災のプロフェッショナルが様々なアドバイスをお届けします

危機には2つの種類があります。一つは、予測が可能な不都合な出来事で対策を立てることが可能なリスク(risk)で、もう一つは、予見が難しく生き死に直結する危機であるクライシス(crisis)です。新型コロナウィルス感染症は、リスク以上クライシス未満の危機といえます。

新型コロナウィルス感染症は、収束の見極めが難しい状況です。感染症の影響が続くときに、台風や豪雨災害が発生することも想定した事前の準備を考えておきましょう。従来の避難場所は、いわゆる3蜜(密閉空間、密集場所、密接場面)の状態といえます。市町が指定している指定緊急避難場所に避難することだけが避難ではありません。

「分散して避難する」ことを一人ひとりが考えてみましょう。

 ・ 自宅が安全と判断される場合には「在宅避難」
 ・ 安全な場所にある「親戚・知人宅への避難」
 ・ ホテルなどの「宿泊施設」の活用
 ・ 「地域が管理する集会所」や「協定を締結している施設」
 ・ 「車中泊」

まず、ハザードマップで自宅、勤務場所等の危険度合を確認することが大切です。親戚、知人・友人宅を避難場所として考える場合は、平時からの良好な関係に努めるとともに、避難する場合に注意する事項も確認しておきましょう。車中泊では、エコノミークラス症候群の防止にも留意することが大切です。

新型コロナウィルス感染に関して、欧米諸国と比べると被害を低く抑えられているといわれる「日本の対策」への関心が高まっていますわが国で被害を抑えられている要因としては、「自粛や休業を続ける国民の行動」と「医療の貢献的な努力」による面が大きいと報じられています。他にも「医療体制」「国民皆保険」「BCGワクチンの接種」「手洗、清掃など清潔好きの国民性」「マスク使用の文化」「お辞儀、靴を脱ぐなどの生活習慣」「地元自治体による地域に応じた指示や要請」など、“制度”“国民性・生活習慣”の 要因が複合的に関係していると考えられます。

企業では、「各種制度」や「企業風土」の緊急時対応の見直しが大切です。特に“正確な情報収集体制”の構築と、何よりも大事なのは従業員、顧客、関係企業、地域等との“企業、経営者への確固とした信頼関係を構築しておくこと”だと考えられます。緊急時には、マニュアルでは対処ができない事態が起きます。制度や企業文化を継続的に改善することが自分で判断し、独自に実行する強い現場につながり、企業の備えにもなります。

Hiroshima Personの最新情報をチェックしよう!