【世界に羽ばたく広島人 】
Vol.8 「EGG草の根国際交流会」代表・神岡百合美さん

【世界に羽ばたく広島人 】


世界中から人々が集う地・広島。宮島や原爆ドームなどの観光にとどまらず、広島を舞台に活躍する外国人が増えています。その一方では、広島と世界の架け橋となり、多文化共生の一助を担う日本人も多くいます。様々な国籍の“広島人”へのインタビューをどうぞ!

世界中から人々が集う地・広島。宮島や原爆ドームなどの観光にとどまらず、広島を舞台に活躍する外国人が増えています。その一方では、広島と世界の架け橋となり、多文化共生の一助を担う日本人も多くいます。世界を繋ぐ“広島人”へのインタビューをどうぞ!

今回ご登場いただくのは、広島県三次市で活動する「EGG草の根国際交流会(Evergreen Grassroots Group)」代表の神岡百合美さんです。1991年の交流会設立以来、英会話や国際交流イベントを通じて、地域と外国人住民をつなぐ活動を続けてきた神岡さん。「外国の方も日本人も、安心して集まれる居場所をつくりたい」そんな思いを胸に30年以上にわたり、三次市の国際交流を支えてきた神岡さんに、これまでの歩みと活動に込める思いを伺いました。

はじめに、自己紹介をお願いします!

私は、1956年に広島県高田郡吉田町(現・安芸高田市)で生まれました。父の仕事の関係で子どもの頃から何度も引っ越しや転校を経験し、新しい学校へ行くたびに、一から友達をつくる生活でした。でも、それを苦に感じたことはなかったんです。むしろ、転校した次の学期にはクラス委員に立候補するくらい人の輪に入ることが好きな子どもでしたね。大学は親元を離れ、京都精華短期大学へ進学しました。英語を学ぶ学科だったこともあって、担当の先生がアメリカへの短期留学を企画してくださったんです。約1か月の短い留学でしたが、毎日が刺激的で、本当に忘れられない経験になりました。帰国してからは、とにかく英語を話したくて、外国の方と関わりたくて、しょうがなかった。でも、当時はなかなかそういう機会がなくて、卒業後は広島に戻り、医薬品会社の営業管理課に就職。その後、結婚、出産などを経て、三次市で暮らすようになりました。

外国の方と交流したいという思いは、どのように形になっていったのでしょうか。

三次市で暮らすようになってからも、「英語を話したい」「外国の方と交流したい」という思いは、ずっと心の中にありました。そんなある日、プロテスタント教会の牧師の奥様と出会ったんです。ニューヨークから帰国されたばかりの方で、一緒に話をしているうちに、「お金をかけずに、楽しく英語を学べる場所があったらいいね」という話に。それがきっかけで、教会の礼拝に参加していたフィリピンやブラジル、中国など、いろいろな国の方に先生になってもらい、小さな英語学習会を始めました。ある年、教会だったこともあって、「クリスマス会をやろう」という流れになったんです。みんなで料理を持ち寄って、歌を歌ったり、それぞれの国の文化を紹介したり。国籍も年齢も関係なく、そこにいるみんなが気付けば笑顔になっていたんです。すると終わった後に、「こんなに楽しい会を毎月やってほしい」という声がたくさん上がってきました。私は、「毎月か…。でも、やってやれないことはないな」と。そのくらいの気持ちでしたね。それが、まさか35年も続くことになるなんて、その時は思ってもいませんでした。

EGGではどのような活動をされているのですか?

今は、毎月国際交流会を開いています。県北に住んでいる外国の方に順番で担当してもらって、その国の料理を一緒につくったり、文化や暮らしを紹介してもらったりしているんです。料理を囲みながら、「こんな料理があるんだね」、「日本とは違うね」なんて話をしているうちに、気付けばみんな仲良くなっている。私は、ああいう時間が本当に好きなんです。

昨年11月には、安芸高田市が舞台になった映画『ベルサーマ』の上映会も開きました。実は以前、庄原市でこの映画を観たことがあるんですが、何とか三次でも上映できないかと考え、思い切ってインドネシア交流会を企画しました。当日は上映のほかにも、参加していた中学生がインドネシアのことを話してくれたり、インドネシアの皆さんが母国のことを紹介してくれたり。最後はみんなで料理を囲んで、とても素敵なイベントになりました。

それから、毎年7月末の「三次きんさい祭」の「国際村」についても、今はEGGで企画や運営を担当しています。せっかく「国際村」という場所があるのだから、日本人だけが楽しむ場所じゃもったいないじゃないですか。外国の皆さんが主役になって、自分たちの国の文化を思い切り披露できる場所にしたいと思い、外国の友人に声をかけています。民族衣装を着て踊ったり、歌を披露したり、その姿を見て、「まるで海外に来たみたい」と喜んでくださる方も多いんです。また、12月には、一年の締めくくりとして料理とプレゼントを持ち寄って年末特別国際交流会(Year-End Party)を開催し、毎月国際交流を続けるきっかけになりました。今年で32回目を迎える、私のとっても思い出深い大切な会なんですよ。

30年以上、活動を続けられる理由は何でしょうか。

何度も「もう続けるのは難しいかな」と思ったことはあります。でも、そんな時には必ず誰かが手を差し伸べてくれるんです。高校時代の友人が支えてくれたり、「活動の足しにして」と寄付をしてくださる方がいたり。不思議なくらい、困った時には助けてくれる人が現れるんですよね。EGGを始めるきっかけになった彼女も、その一人です。とてもおおらかな方で、「どうにかなるよ」と、いつも前向きに背中を押してくれました。その考え方に、私自身、何度励まされたか分かりません。本当にたくさんの人たちに支えてもらったからこそ、ここまで続けてこられました。

今後の展望を聞かせてください。

今後の展望ですか(笑)。年齢のことを考えると、「もう体力が持たないかも」なんて思うこともあります。でも、結局やめられないんですよ。私はEGGだけじゃなくて、地域の民生委員やうたごえ喫茶、絵本の読み聞かせ、地域サロンなどもやっているのですが、気付けば、どれも人と人をつなぐ活動ばかり。昔から、そういうことが好きだったんだなと改めて思いますね。外国の方も、地域で暮らす日本人も、それぞれ、人には言えない悩みや寂しさを抱えていることがあります。だからこそ、国籍や立場なんて気にせず、ありのままでいられる場所を残しておきたい。「ここは大丈夫。みんな良い人ばかりだから、心配せんでもいいよ。肩肘張らずに、ありのままでおってね」そんなふうに言ってあげられる場所が、この町に一つでもあればいいなと考えています。私はいつも思うんです。「みんなが『地球人』という一つのパスポートを持っていればいいのに」って。国境や国籍で分けるんじゃなくて、みんなが笑い合える世界になったら一番素敵ですよね。夢物語のようですが、そのために私も、これからもできることを一つずつ続けていきたいと思っています。

●プロフィール

EGG草の根国際交流会」代表・神岡百合美

1956年、広島県高田郡吉田町(現・安芸高田市)生まれ。京都精華短期大学英語英文科卒業。アメリカへの短期留学をきっかけに外国人との交流に関心を深め、1991年に「EGG草の根国際交流会(Evergreen Grassroots Group)」を設立。以来30年以上にわたり、国際交流イベントなどを通じて、広島県三次市で地域と外国人住民をつなぐ活動を続けている。現在はEGG代表のほか、民生委員や歌声クラブなど地域活動にも携わる。明るく親しみやすい人柄で、初対面の人ともすぐに打ち解ける。人との出会いを大切にし、「まずはやってみる」の精神で、多くの人をつなぎながら活動を続けている。

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