【広島人の履歴書】
File.5 蓮見和章さん 弁護士法人リーガルジャパン 代表弁護士 《後編》

【広島人の履歴書 】


広島と縁のある各界のオピニオンリーダー自らが語る今日までの足跡。知られざるエピソード満載の履歴書(プロフィール)には、現在を生きるヒントが隠されています。

人に寄り添う身近な弁護士として
未来を良くするために解決したい。

司法修習で訪れるまで全く見知らぬ土地だったのに、暮らしてみると楽しいことばかり。いつしか大好きな街となった広島での約10ヵ月間の実務修習期間はあっという間に過ぎました。名残惜しさもあって修習後、弁護士として社会に出ていくにあたり、「このまま広島にいたいけれど、故郷の両親のこともある。東京で弁護士をやりながら広島にも仕事に来られないかな」などと思いを巡らせていたところ…。司法書士法人と併せて全国展開を進めている東京の弁護士法人が、司法書士法人を広島に開設するので弁護士法人として赴任してくれる弁護士を募集している、という採用情報を見つけ、物は試しに応募してみると採用されたんです。

東京と広島での弁護士活動を理想としていた自分とすれば願ってもない話で迷うことなく、その法人に就職を決めました。ひとまず一度、東京本部で拠点開設の準備も兼ねて約1年間研鑽を積むことに。そして2009年春、ほぼ1年ぶりに帰ってきた広島で事務所を開いたのは、現在の広島事務所がある銀泉広島ビルの同じフロアの別の部屋です。ひと足先に開設していた司法書士法人に隣接する新拠点は、弁護士はわたし一人ですが、当時は過払い金の案件が多かったので事務作業も多く、3人の事務員さんを雇っての船出となりました。

さて、拠点を率いる立場になったとはいえ、まだまだわたしは新米弁護士です。開設したばかりの頃は、キャリアの少なさを補うため、野球の千本ノックではないけれど、「とにかく相談を受けまくり、人の話を聞きまくろう」と考えて、案件の分野を選ばず、面談の場数を踏むことに専念しました。相続・離婚・交通事故を筆頭とする様々なトラブルの相談をお聞きするごとに、依頼者の方と心を通わせるコミュニケーションの取り方を身につけていった気がします。

相談されるひとつひとつの内容がヘビーなのに対し、若くて人生経験も少ないため、失敗することも多々ありました。苦い思い出もありますが、わたしの場合は「人に寄り添う、身近な存在の弁護士でありたい」を目標に定め、“日々勉強”“日々成長”と前向きにとらえていたので、くじけたりはしませんでした。仕事もプライベートも、座学よりも自分で実際に体感する方が向いているし、根を詰めてやる性格ではありません。コツコツと平均風速ではなく、瞬間最大風速で課題に向かうタイプなんですよ。ただ、弁護士の業務に携わる者としてのこだわりだけは持つようにしていました。

例えば、弁護士は依頼者の方から「先生」と呼ばれますが、これは職業として報酬をいただく立場の敬称みたいなものです。わたしは、初めて事務所開設して以来、今日まで基本的に所内のスタッフには、「先生」と呼ばずに「さん」付けで呼ぶように伝えています。同じ事務所で一緒に仕事するスタッフは、相談に来られた依頼者の抱える問題解決に向けて同じ目的を持つパートナーであり、「弁護士と事務員に上下関係はいらない」というのが持論ですから。

あと、依頼者の方にもスタッフに対しても、ずっと口にしてきたのが「自分の個性を大事にしてほしい」ということ。わたしたちの仕事は価値観がぶつかり合う現場だからこそ、それぞれがライフスタイルを含めて、自分の生き方や考え方を尊重するようにして、後ろ向きにならないでもらいたいんです。従って、わたし自身も自分の価値観を押し付けないよう心掛けています。何事でも、人からアドバイスを受ける前に、まず自分の価値観を大切にして考えてみるのが大事ですよ。

一方、広島でスタートした弁護士活動を通じて様々な経験を積んでいくと、仕事も遊びも満喫できて自分に水が合うこの地がホームグラウンドのように思えてきました。所属先の組織変更もあり、2012年にはわたしが代表社員となって「弁護士法人リーガルジャパン」を設立し、晴れて独立することになりました。この頃には、地元のパイプが増えていたので、地域のみなさんと交流する機会も増えてきました。そのひとつが、広島の弁護士会で年に1回行われる子どもの日記念イベントです。

イベントでは、子どもの周りで起きる問題をテーマにした地元高校生との演劇に参加する一方、パート2から8までは、わたしが劇の脚本作成も担当。昔からテレビドラマを観るのが好きだったことが、思いがけず役に立ちました。これらの活動を通じて虐待や暴力などの理由で安心して生活できる家庭や居場所がなく、一人ぼっちで困難を抱え苦しむ子どもたちのセーフティーネット構築に取り組む「NPO法人ピピオ子どもセンター」の設立に関わることになり、現在は理事として虐待などで行き場をなくした子どもたちのシェルターを運営しています。

こうして地域の方とのご縁を深めながら活動してきた弁護士法人リーガルジャパンも今年で設立10周年。弁護士4人、事務員5人体制の広島事務所をベースに、2012年12月には山口県周南市に「徳山事務所」を、2021年1月には東京都千代田区丸の内に「東京事務所」を開設することができました。東京事務所の設置に伴い、「東京と広島で仕事をしたい」という司法修習を終えた頃の夢を実現できた次第です。活動エリアが広がり、わたし自身も弁護士になって15年が過ぎたことで、仕事に向き合う上での思いが少しずつ変化してきましたね。

特に自分の目標については、以前から掲げてきた「人に寄り添う、身近な存在の弁護士でありたい」に、最近は「その人の未来を良くするために問題を解決していきたい」というテーマが加わりました。弁護士の仕事は過去に起こったトラブルを弁護する場合が多いのですが、仮に裁判に勝ったからといって、それまで過ごした辛い時間のため、身も心もボロボロに疲弊してしまう依頼者の方もおられます。あるいは、その後の生活で、人の言動のひとつひとつに敏感になったり、疑心暗鬼になって性格が変わったり、精神的に苦しまれるケースも少なくありません。

依頼者の未来にとって、問題の解決がどのように作用するか?が重要であり、わたしたちはそこを見据えて弁護していきたい。幸せな未来を過ごしていただくためには、トラブルに巻き込まれて平常心ではない人に冷静になるよう、弁護士として「どうアドバイスができるか」が課題です。弁護士が関わる人と人とのトラブルは、国と国との戦争に似ています。今まさに渦中にあるウクライナとロシアのように一方の主張だけを押し付けようとすると、悲惨な結果を生みかねません。弁護士は、国民の命を守る政治家と同様に「依頼者をトラブルから護るためにいるのではないか」という発想を持つようになりました。

弁護士法人の代表としては、この発想で弁護士のビジネスモデルを変えていきたいんです。医療の世界で重い病気になるのを未然に防ぐ“予防医学”が浸透しているように、わたしたちもトラブルが起きて相談されるのを待つ従来のスタイルではなく、起こる前にそれに見合った法律を発信できるスキームを構築したい。法曹界でもこの“予防法務”を提唱する弁護士さんは多いのですが、自分の目指すイメージは、もっと深く人の活動に直結したところに置いています。

人は健康であれば、病気にならないだけでなく、なんでも食べられて、どこにでも行けるので選択肢が増えます。法律を知ってトラブル防止するだけでなく、例えば、企業であればビジネスの機会を広げるために、個人であれば人生の選択肢を増やすために、法律を活用してもらいたいんですよ。そのために、もう少し身近に弁護士のアドバイスを受けて方針を立てられる仕組みを実現させるつもりです。

「未来志向型」を標榜し、「予防法務」を行うためには、現在の組織の体制を強化する必要があります。まずは依頼者からのあらゆる相談に対処できるように弁護士も色々な分野のスペシャリストでないといけません。各分野のエキスパートである弁護士を30人くらい抱える組織にするのが理想的ですね。医師で例えれば、“町医者でありながら専門医でもある”といったスキルの人材を集めて、どんな事件が相手でも強力なチームで戦える弁護士法人に育てていかなくては。

今の日本の社会では、公私において「トラブルさえ起きなければ、別にルールを守らなくてもOK」と考える人も一定数いらっしゃるようにも思います。弁護士であるわたしからすると、それは東南アジアの交通事情のように、バイクや車が沢山走る道路を人々がすり抜けながら、ひょいひょい渡る光景に見えて、いつトラブルに巻き込まれてもおかしくない非常に危険な状態だと感じるんです。これまで事故やトラブルに巻き込まれなかったのは、たまたま運が良かっただけなんですよ。

近頃よく話題となるセクハラ、パワハラなどのハラスメント問題然り、「最初に口にしたひと言に文句を言われなかったから」、「昔はそれが当たり前だったから」といった、これまでは問題にならなかったことと認識しての言動がコンプライアンス(法令遵守)に抵触するケースが多々あります。特に企業経営者の人などは、契約書ひとつにしてもその認識でいると大変なことになる場合があるので、何か気になるときは必ずわたしたち弁護士に相談してほしいですね。「ルールを守る人が誰よりも得をする、利益を生み出せる社会を作ることも弁護士であるわたしたちの使命」とまで言ってしまうとエラそうかもしれませんが、「そんな社会になったらいいな」とは本気で願っています。

法律は、人の生活のあらゆる場面で適用されるものであり、法的な悩みもひょんなことから発生します。弁護士の役割は、問題の答えが〇か×を決めるのではなく、問題の解決に向けてナビゲ―ションすることだと思います。優れたナビゲーターならば、地理に明るく、交通法規に詳しいから「この道を行けば良い」という的確なアドバイスができるように、経験や知識が豊富な弁護士がいれば、問題を解決する上で一番良いアドバイスを授けてくれるはずです。「誰にも相談できず、ずっと悩んでいた」「もうどうにもならないと思ってあきらめていた」といった依頼者の方に、人生を前向きに考えていただけるような解決を実行できる弁護士でありたいですね。

わたしも40歳を過ぎた頃から、これまでの道のりを振り返って「自分が何をしたいのか?」を考えるようになりました。結局、頭に浮かぶのは、「自分が生きてきた地域に貢献したい。そこにいる人たちの力になり、みなさんを笑顔にしたい」ということ。ひとりの弁護士としては、関わりのある地域、すなわち埼玉や東京をはじめとする関東、広島および中国地方の方々に「蓮見さんといういい弁護士がいるよ」と言われるようになることができれば本望です。

いま現在、何かお困りの問題を抱えておられる方へ。インターネットなどの情報に自分の置かれた状況を当てはめて一喜一憂したり、「弁護士に相談するにしても何から話して良いのかわからない」と悩んでおられませんか?そんな方こそ、ぜひ一度、お気軽にご相談ください!

《蓮見和章(はすみ かずあき)PROFILE》

弁護士法人リーガルジャパン代表弁護士。1979年12月11日生まれ。

埼玉県川口市出身。埼玉県立浦和高校卒業後、早稲田大学法学部へ進学。早稲田大学法学研究科民事法学専攻(商法)単位取得を経て、学習院大学大学院法務研究科修了。2006年より弁護士として活動。東京弁護士会所属。

趣味
〇スポーツ全般(※観戦もプレーも)
〇ドラマ観賞(※特にラブコメ)
〇3人の子供と遊ぶこと(※5歳の長男、3歳の次男、生後間もない長女)

【法人概要】
〇法人名  弁護士法人リーガルジャパン

〇事務所  【広島事務所】
〒730-0031
広島市中区紙屋町1丁目3-2 銀泉広島ビル5階
TEL 082-545-7728 FAX 082-545-7729
受付時間 AM9:00~PM5:30

【徳山事務所】
〒745-0015
山口県周南市平和通1丁目23番地 宮崎ビル2階
TEL 0834-21-2902 FAX 0834-21-2903
受付時間 AM9:00~PM5:30

【東京事務所】
〒100-0005
東京都千代田区丸の内1丁目6-2 新丸の内センタービル20階
TEL 03-6634-7867 FAX 03-6810-0177
受付時間 AM9:00~PM5:30

■リーガルジャパンホームページ
https://www.legaljapan.hiroshima.jp/

■予約専用フリーダイヤル
0120-37-5596 (受付時間 平日9:00~17:30)

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