クールの誕生

こんち、これまた、ご機嫌いかが?流川の「レコードバー野中サンハウス」店主でございます。2018年冬に開店した「野中サンハウス」では、「アナログ・モノラル・ローファイ」を合言葉に、日々様々な音楽をお楽しみいただいております。

2020年、秋の良き日、10月23日金曜日、なんと映画「マイルス・デイヴィス クールの誕生」が八丁座にて封切されるのであります。ジャズファンもロックファンも必見ですぞ!当然、私もまだ見ていないので、何処に焦点を当てた映画なのかは分かりません。だからこそ、早く見たい!

そもそも「マイルス・デイヴィス」とは?おおまかな答えとしては「モダン・ジャズの歴史を築いた史上最大の革新者」で正解です。モダン・ジャズの進化の過程は、「ビ・バップ」、「クール・ジャズ」、「ハード・バップ」、「モード・ジャズ」、さらには「エレクトリック・ジャズ」と言うのが定説であり、そのすべてにマイルスは深く関わっていたのであります。さてこのレコード、映画のタイトルにもなっている「BIRTH OF THE COOL(クールの誕生)」であります。

1949~1950年の録音。録音方式は、テープを用いたのか、SP盤ダイレクト・レコーディングだったのかは、不明ですが、初回のプレスは、78回転のSPレコードだったようです。正直、蓄音機で聴いてみたいものです。チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーといった天才奏者が、長いアドリブを吹きまくる「ビ・バップ」の振り戻しとしての「クール・ジャズ」は、その後、アメリカ西海岸のジャズ・シーンに影響を与えたようです。

続いて、ジャズ史に燦然と輝く「Kind of Blue」でございます。1959年録音の本作は、「モード・ジャズ」の名盤と言われています。このモード・ジャズの概念が難しく、恥ずかしながら、私のオツムと文筆力では表現不可能。とにかく聴いてみてください。1曲目「So What」の緊張感がたまりません。腕利きミュージシャンが一発録音する際の緊迫感!タイトルがまた良い、「だから、どーした」!!!

このアルバムには、ピアニスト、ビル・エヴァンスが「ジャズにける即興演奏」という文章を寄せている。即興演奏を水墨画に例えた名文です。「マイルスは、全員がどう演奏すればいいかがわかる下書きを持ってスタジオにやって来た」。つまり、マイルスの簡単な下書きを基に、集団即興演奏を行ったのである。

マイルスは、モダン・ジャズの歴史の中で、一つ所に留まらず、常に反動し続けた努力家であると、思っております。常に偉大な革新者でありましたが、実は私、1970年のマイルスが、大好物なのであります。その名もズバリ「miles electric」と言うDVD。1970年8月29日、ワイト島フェスティバルでのマイルス・デイヴィス集団即興演奏39分プラス、それに対する様々な音楽家のコメントが収められている。曲名を問われたマイルスは「Call It Anything」と答えたらしい。「なんとでも呼びな」、カッコイー。

60年代後半、電化が進み技術革新が華々しい「ロック」のフィールドに天才「ジミ・ヘンドリクス」が現れる。ジャズは、なぜロックに勝てないのか?なぜジミ・ヘンドリクスに勝てないのか?その実験をしつこく繰り返してきたマイルスの電化楽団による39分の演奏は、ロックにもジミヘンにも勝っていると、思っております。生きていたら、ジミヘンの感想を聞いてみたかった。ジミはこの20日後に、亡くなっている。

お互い尊敬しあう、マイルスとジミは、一緒にレコーディングするつもりであったらしい。もし実現していたら、ブラック・ミュージックのみならずロックも変わっていたように思うのは、私だけではないはず。

映画「マイルス・デイヴィス クールの誕生」公開記念で、マイルスを熱く語ってみました。弊店、レコードバー野中サンハウスには、ジャズのシングル・レコードも、少しだけございます。1958年のフランス映画「死刑台のエレベーター」、マイルスのトランペットがクールに決まっております。

そんなこんなレコードが、そこそこある「レコードバー野中サンハウス」へ、ぜひおはこびください。シングル盤は、昭和歌謡から映画音楽まで、雑に約1000枚ございますが、レコードやCDの持ち込みも可能です。また弊店、蓄音機でSPレコードもお楽しみいただけます。月に一度ほど、RCCラジオの人気番組「バリシャキNOW」にお呼びいただき、蓄音機で2枚回しています。次回は、11月9日、月曜日に出演する予定です。

さて、本日はここまで。今日も明日も、名盤聴こう!それでは、みなさん、ごきげんよう。

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