薪ストーブのノウハウ(4)メンテナンス

薪ストーブのノウハウ編の最後は、薪ストーブのメンテナンス、特に煙突の掃除を中心としたお話です。これまでご紹介してきたとおり、多少面倒でも楽しさ満載の薪ストーブですが、忘れてはいけないのが「お手入れ」です。まあ、世の道楽にはほとんどと言ってもいいくらい道具のお手入れ問題がありますよね。むしろ、そちらのほうがメインのお楽しみであるジャンルもあると思います。

ただ、薪ストーブライフでは、お手入れは安心・安全にも繋がるので手抜きはできません。特に煙突のメンテナンスはストーブの性能を発揮させるためだけでなく、火事などのトラブル防止のためにも非常に重要です。そのためにも、あらかじめメンテナンスのしやすさで煙突や道具の種類を選ぶことも大切です。

とは言っても、そんなに何度もお手入れが必要というわけではありませんので、まずはご安心ください。薪ストーブの使用にはシーズンがありますから、シーズンの前と後、必要な作業を行えば基本的に十分です。もちろん、そのためには十分に乾燥した薪を適切に使用するという大前提があるのも強調しておきます。※写真1:我が家の室内の煙突の構造を説明できる写真が意外に少なかったので急遽撮影‼

では、実際の煙突のメンテナンスはどのようにするのかを解説します。その前に我が家の煙突の構造は、写真のとおり本体からまず2mほど垂直に立ち上がる部位、そこから直角に接続して壁を抜けて屋外に導く横引きという部位、屋外でさらに垂直に上がる部位の組み合わせです。薪ストーブから真っ直ぐに屋根を突き抜けるタイプだと違う掃除のしかたになりますのでご注意ください。

ちなみに煙突を屋根抜きする場合と横引きする場合とでは燃焼性能やコスト、そしてメンテナンスそれぞれにメリット・デメリットがあります。前回ご紹介した室内への逆流は屋根抜きのほうが起こりにくいと思います。ここでは詳しく触れませんので、気になる方はネットで検索して調べてくださいね。※写真2:横引きとの連結部分の灰の溜まり具合。

さて、我が家のように横引きタイプはその曲がり部分に灰が一番溜まりやすいので、掃除は薪ストーブ真上の角に設置されている配管の蓋を開けることから始めます。開けてすぐにいつもスマホで溜まり具合を写真に撮っています。毎年の使用具合や気象状況でどれくらい違うのかを考察するためですが、10シーズン使ってみてそんなに大差がない感じです。

もちろん、最初の数年はやはり溜まり具合が気になって、シーズン途中にも一度掃除をしていました。それは安全面では良いことなのですが、我が家の場合は結果的にシーズン後で十分でした。本当はシーズンが終わって暖かくなった3月末くらいまでにやってしまうと、その灰を畑で利用したりする循環ができるのですが、子どもたちのイベントで週末や連休が忙しい最近では、結局は翌シーズン前の9月や10月の連休の晴天日にまとめてすることが多くなってきました。※写真3:煙突掃除用ブラシ。最初は左側を使っていたが効率が悪いので右を購入。

使用する道具は、煙突掃除に特化された金属製ブラシと、1mくらいずつ連結して長くすることができる金属製ロッドです(セットで3000円くらいから)。ブラシの径は煙突の内径よりも若干大きいくらいのものを選ぶと効率的に掃除ができます。特に横引き部分は細かな灰が溜まっているので、ストーブ側から屋外に向けてブラシを押す際に前に丸めた新聞紙を大きな紙鉄砲のように置いて押し出すと一発で綺麗にできます。※写真4:屋外側の連結部分に落ちる灰とそれを受けるビニール袋。

押し出される側の角下にも蓋があるので、事前に灰や煤が溜まったその蓋をそっと開けて、可燃ゴミ用のビニール袋などをそこに吊し被せておくと、灰や煤ごと鉄砲玉を落とし止めることができます。あとは屋内外それぞれの縦の煙突もブラシで落とすのですが、屋外側は長さが4m以上あるので、ロッドを連結させながらブラシを回転させ出口まで突き上げないといけません。屋外の煙突は、外側が2重構造となっているので外気の影響を受けにくくしてあり、今のところ煤やタール成分がこびり着いたりすることなく、綺麗なまま使えています。※写真5:メンテナンス後の屋外の煙突の内部。

以上が煙突掃除の一通りの作業となります。最近では効率的に済ませる流れがわかってきたので、1時間程度あれば完了できます。年に1回程度でしたら、むしろ楽しめると思いますよ。もちろん、途中で脚立を使う場面があると思いますので、転倒などには十分気をつけてください。

煙突掃除以外のメンテナンスとしては、本体の扉ガラスに付着した煤を定期的に洗い落としたり、本体に錆などが出たら、磨いて食用油を塗っておく、くらいでしょうか。基本的に気がついたらやるという程度で、もちろん本体は重くて煙突に繋いだままなので年中定位置に置きっぱなしです。余程大きな損傷がない限り、単純で堅牢な素材・構造の我が家の薪ストーブはこれからも同じメンテナンスで、この先何十年でも使えそうです。

今回まで4つのテーマに分けてご紹介させていただいた薪ストーブのノウハウ編はいかがだったでしょうか。ちょっとマニアックな内容もありましたが、これまで断片的だった知識や経験を改めて振り返り調べながら体系的にまとめることができて、私もたいへん勉強になりました(笑)。

さて次回、記念すべき第20回目からは、里山暮らしをさらに楽しむため、そして個人的な趣味としても日常の大きな要素となる「食」をテーマとした連載を、ちょうど春先の山菜の話題なども含めながらスタートして、季節を追いかけながらその旬をご紹介していきたいと思っています。引き続き、お付き合いよろしくお願いいたします!

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