多少の前後はあるものの毎年決まった時期に毎度の恵みをいただけることが里山暮らしの幸せであり、安心感だというようなことを以前も述べたかもしれません。この地に移住した頃から、いや実はその前からもずっとお世話になっているbuffoさんの合鴨はまさにそんな恵みです。
ブッフォ(buffo)さんと家族や周りの人がみな親しみを込めて呼ぶのは、大ヒノキの八栄神社がランドマークの旧大朝町岩戸にある「ふぁーむbuffo」の岩崎奈穂さんです。オーガニックな平飼い鶏の卵を生産から始められて、近年では多様な地鶏を孵化から加工まで一貫生産されています。
◇ ふぁーむbuffo webサイトへのリンク: http://buffo.oasa.jp
最近は、内外のグルメ関係者なら知らない人はいないくらい人気なbuffo地鶏になりました。ところが実際に農園を訪ねると、小柄な彼女がほとんど一人で重労働をテキパキこなしている姿に皆さん驚かれると思います。
また山間の谷に位置する農園の中には、人懐こい犬や猫そしてヤギたちがいて、子どもたちを連れて行っても毎回喜んでくれて大人も和みます。詳しい様子はリンクのblogやFacebookなどをご覧ください。もちろん見学には事前に相談が必要ですよ。
さて、そんなbuffoさんの手がけるもうひとつの人気商品は合鴨米です。人と環境に優しくて、かつ美味しいお米づくりの手法としてよく知られていますね。でも頑張って働いてくれた鴨たちを最後に人がいただくという、ちょっと申し訳ない気分にもなる恵みです。
とはいえ、くなってきた頃にちょうど届く鴨肉は最高のご馳走です。定番のお鍋だけでなく、我が家では毎年いろいろな酒肴に試していますので、今回いくつかご紹介しましょう。※写真:部位ごとに切り分けた鴨肉。命を大切にいただきます。
と、その前に合鴨に限らず、uffoさんからいただいた地鶏も、まずは用途に合わせて部位を丁寧に分けることから始めます。そうすることで貴重な資源を無駄なく活用できます。特に我が家ではできればマル(骨つき)で,難しければガラを付けていただきます。※写真:ガラの出汁とり。鴨と葱の相性の良さを感じることができます。
まずは、鍋やスープに使う出汁のために、ガラをちょうど旬の白ネギの青いところと生姜、人参の皮などと一緒に圧力鍋で煮込みます。冷まして取り出したガラはすぐ捨てず、骨に残っている端肉や軟骨を丁寧に手でほぐし取ります。※写真:ちょうどその時期に熟して取れる我が家の山椒実を振ります。
それらの端肉や軟骨を別で茹でておいた皮や人参、大根、牛蒡、蒟蒻、昆布などと一緒に再度煮込むと、写真のようなスジ煮込み風の一品ができます。味付けは、あっさりと醤油にすれば、つけ麺の汁や和風のスパイスカレーの具にも応用できますよ。※写真:家庭でも丁寧に仕込んでグリルすれば専門店みたいでしょ?
鴨は、足(モモや手羽)よりも胸で肉が発達します。いわゆる鴨ロースとは、実は胸肉なのです。ただし,buffoさんの合鴨は自然な飼料で育てられているので、取れたお肉も控えめです。それをいきなり焼くと縮んで小さくなってしまうので、我が家味噌とお酒またはワインで調合した液に数日漬け込んでからグリルしています。※写真5:鴨鍋はもちろん鴨ガラから炊いたスープがベースです。
あとは本命のお鍋ですね。我が家では、buffoさんと同じ大朝地区で作陶されていて、現在は国東で活動中の岡美希さん作「美器」を愛用しています。その土鍋でグツグツ炊いた出汁に軽く潜らせていただきます。もちろん脂を含む部位は、あらかじめ旨みを出すために煮ておき、柔らかい部位だけを選んで薄切りにし、硬くなる前にサッといただきます。※写真:富久長の直汲みは微発泡していて広島の牡蠣にも最高!
合わせるお酒は、時期的に日本酒の新酒ですね!しかもbuffoさんと、この地鶏は日本酒の原料米の米糠や絞った酒粕も餌にしていて、例えば東広島市安芸津町の富久長(今田酒造)さんまで直接引き取りに行かれているので、事前にお願いすれば「しぼりたて」を買って帰ってもらえることも!?(笑)
そんな繋がりを感じながらいただくと、より美味しく感じますね。さて次回は、いよいよ冬本番、朝の外気も一桁になる頃に美味しくなる菜園の野菜とその酒肴をご紹介しますね。