今回ご登場いただくのは、広島大学に通う留学生の方たちです。それぞれ、ミャンマー、オーストラリア、タイから来日されました。思い思いの考えを胸に、広島という地を選んでくれた皆さんに、留学のきっかけや日本での暮らしぶり、将来の夢について聞いてきました。希望に満ち溢れた若者たちの“今”をお届けします!
■ジン・レイ・レイ・ヌエさん
私はミャンマーの首都・ヤンゴンで生まれました。幼いころから父の仕事の影響で引っ越しが多く、各地を転々としながら育ちましたが、中でも、エーヤワディー地方のインガプという市で多くの時間を過ごしました。昔から、平仮名・片仮名といった日本語特有の文字や、日本語の発音になぜか心惹かれていた私は、来日を決めた当時、ミャンマーで日本ブームだったことも相まって、他国への留学を検討することもなく日本へ。2023年に来日して3年間東京で生活したのち、今年の4月から広島大学に入学し、初めての広島ライフに心を躍らせているところです。ちなみに、私が初めて日本の存在を知ったのは広島がきっかけなんですよ。幼少期に平和学習を受ける中で、世界で初めて原子爆弾が落とされた街として広島の存在を知り、戦後、平和の象徴として復興した広島にとても興味を持っていました。そのため、日本留学を決めた時から、一度は広島に住みたいと考えており、今こうして広島で暮らせていることをとても嬉しく感じています。
―将来の夢はありますか?
私は将来、JICA(独立行政法人国際協力機構)のような機関でミャンマーと日本を股に掛けて仕事をしたいと思っています。そのためにまず、広島大学でできる限り日本語をマスターすると同時に、コミュニケーション能力も高めたいですね。近年、AIの発達が著しく、「外国の言葉が分からなくても全てAIに翻訳してもらえばいいじゃないか」、「外国語を学ばなくてもAIを使えば誰とでも話せるようになる」などといった意見を耳にしますが、私は、今後どれだけAIが発達しても、人と人との対面でのコミュニケーションが最も重要だと考えています。人間同士が信頼関係を築こうと思ったら、やっぱり直接話した方がいいじゃないですか。もしかしたら、AIを使って機械同士で会話させた方がより正しく、より正確に言葉のキャッチボールができるかもしれません。でも実際に会って話さないと、話し方から感じる人柄とか、ニュアンスとか、熱量とか、本当に伝わってほしい部分が伝わらないんじゃないかと思うんです。なので、私はこれからもいろんな国の言語を習得したいし、なるべく対面でいろいろな人と話してみたい。
あと、これはさらに先の話ですが、もし実際に国際的な仕事に就けたら、ミャンマーの教育環境を整備する事業に関わりたいです。ミャンマーの田舎では、トイレが完備されていない小学校や中学校があり、教育水準どうこうの前に教育環境の整備が急務です。せっかく大学で教育につながる分野を学んでいるのだから、この経験を生かした仕事ができればいいなと思います。とはいえ、まだあと一年半くらいは大学生。今しかできない経験や遊びがたくさんあるはずです。広島も大学生活もまだまだ存分に楽しんでいきたいともいます!
■ポール・クリスチャンさん
僕はオーストラリアのシドニー出身です。高校生になるまでは、両親とともにオーストラリアで楽しい毎日を送っていましたが、ふと、これから先の人生を考えた時、年々物価が上昇する中、それでも賃金が上がらないオーストラリア社会に不安を感じ、外国で暮らしたいと思うようになりました。また、同時に「海外なら日本に行きたい」とも。なぜなら、子供の頃、曾祖父から日本の話を聞いて興味を持っていたからです。曾祖父は、川崎汽船で務めていた時期があり、日本で経験した文化や暮らしぶりを土産話としてたくさん聞かせてくれました。この時から「いつかは自分も日本の文化や暮らしを体験したい」と考えていた僕は「今がその時」と思い、日本に行くことを決意。2025年4月に広島大学総合科学部国際共創学科に入学しました。
―実際に来日してみて、日本での生活はどうですか?
毎日がとても楽しいです。僕は日本に来てすぐ、心身統一合氣道の道場に通うようになりました。ここでは「心と体を一つにする」という考え方の下、ただ技を習得するだけでなく、心の持ち方や姿勢、呼吸なども大切にするので、日本で暮らすうえで役立つ要素がとても多いです。今では週に5日以上の頻度で道場に通うほど、すっかり夢中になっています。また、最近は、お祭りに参加することも楽しみの一つ。法被を着て太鼓や笛の音楽とともに神輿を担いだり、神楽を踊ったりする独特な雰囲気は、日本の祭りならではの特別な体験です。直近では竹原市で行われた「住吉まつり」や僕が住む安芸津町の「三津祇園祭」に参加。さらにこれからの時期は夏祭りや秋祭りが各地で開催されるので、次はどの祭りに参加しようかと毎日インターネットでチェックしています。今は初めての日本を楽しむことに精いっぱいで、将来については余り考えられていませんが、趣味や遊びに集中しつつ、これから少しずつ“やりたいこと探し”も始めていこうと思います。
■ソンソムヌック・ティタパーさん
私は2021年にタイから来日しました。日本語学校や通訳学校に通いながら3年ほど東京で過ごしたのち、昨年広島大学に転入、現在、文学部の4年生です。中学生になるときに「外国の言語を学ぶことで自分の視野を広げることができるのではないか」という考えに至り、中学校から高校卒業までの6年間は「日本語・英語プログラム」というカリキュラムを受講しました。学び始めた当初からコツを掴むのが早かったのか、他の学生に比べて第二言語の習得が順調に進んでいた私は、逆に「なんでこんなに差が生まれるの?同じ教材で同じ先生から教わっているのにどうして?」という疑問を持ち、どうすればみんなの手助けができるのだろうと思うように。そこで、言語学という学問についてもっと専門的に学びたいと思い、留学を決意しました。広島大学卒業後は、大学院への進学を検討しており、まずは母国の言語であるタイ語を専門的に研究したのち、日本語や英語の研究にもチャレンジするつもりです。将来的には、第二言語学習者が今より簡単に短時間で第二言語を習得できるように手助けできるような存在になりたいです。
―タイと日本の生活の違いは?
私は、日本での生活も初めてですが、一人暮らし自体が初めてなので、正直なところ、暮らしに関しては同じ部分を探す方が難しいです(笑)。ただ、印象に残っていることで言えば、食文化の違いでしょうか。日本で外食をしたときに一番驚いたのは定食文化です。タイでは、カオマンガイを頼むとカオマンガイしかでてきません。しかし、日本では、例えば唐揚げを食べたいと思えば「唐揚げ定食」というメニューがあり、メインメニュー(唐揚げ)のほかに味噌汁やちょっとしたサラダ、時には小鉢まで付いてきます。和食では一汁三菜という言葉があるようですが、日本人は日ごろから栄養バランスを考えた食事を摂っているのだなと感心しました。また、日本人が時間に厳しいというのは有名な話ですが、私も実際に来日して日本人の時間厳守は肌で感じています。これから生活する中でまだまだ驚きの日本文化に出会うかもしれませんが、日本社会の一員としてこの国の文化に馴染んでいきたいと思います。
●プロフィール
〇ジン・レイ・レイ・ヌエ(Zin Lay Lay Nwe)
広島大学文学部4年生。ミャンマー・ヤンゴン出身。
インドア派だが、せっかく来日したので日本の名所を訪れたいと思っている。また、最近はVlogも鋭意作成中。
〇ポール・クリスチャン(Pohl Chiristian)
広島大学総合科学部国際共創学科2年生。オーストラリア・シドニー出身。
趣味は合氣道、お祭り、ギター。休日は友人と広島各地をドライブするのが楽しみ。
〇ソンソムヌック・ティタパー(Sornsomnuek Thitapa)
広島大学文学部4年生。タイ出身。
趣味はミュージカル鑑賞。初めての一人暮らしで親元を離れたさみしい気持ちもありつつ、一人ならではの自由時間を満喫中。