熊さんに会いたい?(後編)

いつの間にか渓流が解禁し、フライフィッシングばかり行ってて、投稿がすっかり後回しになってました。すみません!熊キャンプ?の後編です。

昨年のことなので思い出しながら書きます。当日は晴天。昼頃に現地に到着。そこはキャンプ場でなく野営地。まずはテントとタープを張り、薪を集めてひと休憩。ビールを片手に乾杯!「紅葉にも囲まれて誰も来ないし、ここ最高じゃねー」「目の前の川、ヤマメがおるよ」「今日は飲んで食って楽しもうや」「大声出しても誰にも怒られんし…」などと話しながら、のんきに「夜が来るのが楽しみだなー」と思っていた。

キャンプの楽しみは夕食にある。幸い相棒はキャンプ料理が得意で、名前だけは聞いたことのあるイタリアンなどを振る舞ってくれ、ラクが出来て最高なのである(絶品キャンプめしの写真はまた次の機会に!)。

山は陽が落ちるのが早い。折しも季節は秋とあり、さらに早い。周りには灯りなど、もちろんないので、お互いのランタンやライト、料理にも暖にも必要な薪に火を点けた。主食で腹もいっぱいになり、少し寒くなって来たので焚火の近くで酒をチビチビやりながら2次会へ突入。いろんな馬鹿話もしながらまったりしていた時だった。

ガサガサガサッ、コロコロコロッ、バチャバチャバチャーン!「なんやー⁉」ふたりとも立ち上がった。対岸の崖に何かがいて、小石を川に落としてきた。相棒は「おいっ‼」崖に向かって大声で叫んだ。自分も続いて大声で「おーッ‼」と続き、ふたりして足元にある小石を音のした崖に向かって何度も投げてみた。獣なら目が光るはずだが、何も見えない。ライトを照らしてもみるが、姿かたちが全く見えない。

「なんですかねー、鹿ですかねー?」「この辺、鹿は聞いたことがない。イノシシかねー?」「もしかして熊じゃないですよねー⁉」…しばし沈黙。「まあ、山ん中じゃけえ、何かはおるじゃろ。とりあえず飲もうや」。

しばらくして、また、ガサガサガサッ、コロコロコロッ、バチャバチャバチャーン!

ふたりとも総毛立ち、「おいっ!おいっ‼」と叫びながら、大の大人が石ころを音がする崖目がけて何度も投げつけた。「怖いのー!」「こりゃー爆竹を鳴らしましょうや!」。

パーン!パーン!パーン!と谷間に響く爆竹の音。ラジオも大音量にした。「さすがにもうこれで近寄らないでしょう」。

ようやく対岸からの音が消えた。ホッとしたのもつかの間、相棒が「秦泉寺さん、あっち!」と指さす。今度は上流方面で何者かが動く気配があり、川を渡っている音が聞こえる。今度は上流側からこっちに来ようとしているのか⁉ライトで照らしても何も見えない。とにかく、また大声と石投げと爆竹で応戦することに。相手は何もしてこないので応戦ではないのだが…。

その結果、対岸かと思ったら上流、今度は下流方面からも。気配が半端ない。なぜこっちに来たいのか?我々の夕飯の臭いか?食べ物という食べ物はすべて車に積み込んだ。もう大の大人、オッサンふたりはビビリあげ、相棒は焚火のそばでひと晩明かすと言ったものの、一連の出来事の疲れ?で、いびきをかいてチェアで寝始めた。自分も怖さからの疲れからか眠気がでてきたので、一旦相棒を起こし、「テントで寝よう」と声をかけた。

「テントで襲われたらどうします?」と相棒。臨戦体制を採るべく、テントの周りに焚火とライトをあるだけ置き、ラジオは外に向けて大音量に。テント内には脱出用にナイフと応戦する場合の斧を枕元に。熊にテントごと引きずられた話を聞いたことがあるからだ。横になれば怖さより眠気が勝り、すぐに爆睡。そして…。

何事もなく朝を迎えることができた。実は後日、性懲りもなく、怖いもの見たさから同じ場所で再度キャンプを敢行。野営地をよくよく観察したら、熊のものらしき足跡があった。ちょうど、この辺りが獣道で、「そこに我々がいたので通りたかったんだろうなー」と推察。ちなみに、この日は待っても獣の気配さえなかった。川に詳しい方にこの話をした。場所も教えたら、ひとこと、「おう、そこ行ったことあるよ。そこで熊を見たよ」と。やはり熊さんだったのだろうか?

思い出してみるとちょっと怖いんで、次回からはまたフライフィッシングについて書きます。などと言いながら、渓流シーズンが終わったら、またあの野営地に行ってみようかと。懲りない男です(笑)。

Hiroshima Personの最新情報をチェックしよう!