File.17 有冨一貴 3R(スリーアール) 代表 《後編》

引越し・不用品回収・遺品整理業に転身
利用者の笑顔を励みに更なる業務拡大へ!

18年余り勤務したマツダスチールの退職を決めた日に帰宅して妻に「今日、上司に会社を辞めると言ってきた」と告げると、驚きもせずに「あ、そうなの」との返答。ついでに家ではほとんど話していなかったこれまでの経緯や、これからは会社に依存せずに、自分で何かやりたい気持ちを伝えたところ、「何でもっと早く辞めなかったの?でも辞めて何かするんなら、しっかりしてよね」と、全然不安がるでもなく拍子抜けするほどでした。高校・大学で音楽を専攻したフルート奏者だったのに女らしいどころか“昭和の男”のように豪快でさっぱりした性格の妻らしい反応を聞いて、むしろわたしが勇気付けられた格好です。結婚してから10年が経ち、長男に続いて次男、三男が生まれていたので「頼れるのは自分の力のみ。妻と3人の息子たち家族をどんなことをしてでも養って行く」とファイトが湧いてきましたね。

独立、父の下で修業開始

とはいえ、これから何をやるべきか?住宅ローン以外に特に借金はないのですが、貯金も資金ないし、遊んでいる暇はありません。そんな時、息子の事情を知った父が「自分の仕事を手伝わないか?」と誘ってくれました。父は昔から個人事業主として同じ個人で活動する仲間数人とチームを組んで引越しや遺品整理を手掛けていましたが、わたしとすれば明日からでも仕事ができるのはありがたく、“渡りに船”とその申し出に従うことに。ひとまず、父のグループで働くにあたり、自分も周りの仲間の人たちのように個人事業の屋号を持っておこうと、いろいろ知恵を巡らせていくうちに「これしかない!」と思いついたのが“3R(スリーアール)”でした。横文字でクルマやバイクの名前のようにも思われそうですが、実は3人の息子たちの名前(玲音=れおん、来音=らいと、利音=りおと)の頭文字に由来しています。これから独り立ちして道を切り開いて行くにあたり、屋号には「自分の一番大切なものとして守り続けたい、そして次の世代や未来につなげたい、という気持ちを込めよう」と考えていたら、自然と3人の息子たちの顔が浮かんできたので、命名した次第です。

こうして新たな一歩を踏みだしたのが2023年(令和5年)10月のことでした。引越し、不用品回収、遺品整理、残置物撤去…これまでの仕事とは全く違う業種とあり、右も左も分からないまま現場に入ってみると、チームのメンバーは、父が昔から一緒に組んできた50代のベテランの方ばかり。30代半ばの自分が一番若いのでイチから仕事を学ぶにはやりやすい環境でした。最初は5、6人で引越しの現場に赴く要員の人数合わせで段ボールの荷づくりを手伝うなど、仕事の手順を覚えることからスタートです。引越しを皮切りにいくつか現場を経験していくうちにこのチームでは年間を通じて一番需要がある業務が遺品整理だったり、出向いた先で「タンスを1本処分して」とか「○○を引き取って」とよく依頼される不用品の回収は、主業務の遺品整理や引越しにつなげるためのサービス的な位置づけ、といった仕事のウエートなども少しずつ分かってきました。ところで、これらの業務を行うのに細かく言えば免許や資格はいらないのですが、引き取った品の買い取りや販売を行うこともあるため、わたしも一応、古物商資格は取得しましたね。

スリーアール本格稼働

早いもので、それから丸2年(※2025年11月現在)が過ぎました。わたしもひととおり仕事がこなせるようになったので、現在は経験豊富な父たちと提携して「3R(スリーアール)」の屋号を掲げ、自ら営業に回ってお客さまを新規開拓したり、現場に飛び出す日々を送っています。「お悩みごとはスリーアールにお任せください!」をキャッチフレーズに展開しているわたしたちの業務を少しご案内してみましょう。

こんなお悩みありませんか?
〇長距離の引越しを頼む業者がいない
〇片付けが苦手で部屋が片付かない
〇遺品整理をしてほしい
〇ゴミや不用品を引き取ってほしい
〇家事の負担を減らして自分の時間が欲しい
などのお悩みはスリーアールにお任せください!

広島県広島市を拠点に、幅広いサービスでお客様のライフスタイルに合わせたサポートを提供しています。長距離・短距離引越しからハウスクリーニング、遺品整理、ゴミ処分、片付け、不用品引き取りまで、お客様の多様なニーズに対応しております。

こんなお悩みは当店で解決!
■リーズナブルな価格
 他店より高い場合は相談ください!
■新設・丁寧なサービス
 お客さまのお悩みの寄り添い、最適なプランを提案します!
■明朗会計
 追加料金一切なし!作業内容や見積内容を丁寧に説明いたします!

仕事でいつも心がけているのは、
・笑顔でしっかりお客様とコミュニケーションをとること。
・信頼と安心を提供し、柔軟性と適応力を持つことで、お客さまの期待を超えられるように注力しています。
・誠実かつ効率的なサービスで、お客さまの要望や不安に真摯に向き合います。

現場エピソード その①

さて、世の中にITやAIがいくら浸透しようともわたしたちの仕事はマンパワーがないとできません。ひとたび現場に出れば、重い物を運んだり、時間に追われたり、体力的にも精神的にもキツい仕事ですが、やりがいは感じています。一方で、自分はもちろん普通に暮らす人がまず体験することのないような場面や出来事に遭遇することも多々ありました。主要業務である遺品整理の現場などは、そんなエピソードが満載です。遺品整理は通常、亡くなられた方のお身内から依頼されますが、亡くなられたご本人が一人暮らしで身体を壊されたりしていると家の中はまさにゴミ屋敷同然です。すごいのになると、足の踏み場もないほどゴミが散乱してトイレまで行けなかったのか?小便を貯めたペットボトルを天井に届くまで積んでいたり、腐った食べ物の山にウジ虫が湧いているようなお宅もあるんですよ。また、ある訪問先では玄関のドアを開けた途端に、これまで自分が嗅いだ記憶のない悪臭が鼻を突き、何千匹、何万匹のハエが一斉に飛び出してきて後退りしたことも。流石にそのような現場では作業するのも困難なため、特別料金で対応させていただきますが…。

あと、遺品整理の現場に立ち会うようになって知ったのが、世の中には自分だけの楽しみや人に言えないような秘密を抱えた生活を送っていらっしゃる方が意外に多いということ。片づける遺品から故人の生前の生活が垣間見えますからね。わたしたちは室内にある物品を処分する際に残すモノと捨てるモノを仕分けするため、すべてチェックさせていただきます。いざ作業に取り掛かると、女装やコスプレに使われた衣装や用具とか、アブノーマルな性癖に関わる写真や品物が山ほど出て来て、依頼されたお身内に報告するのが心苦しいケースがよくあるんです。しかも、他の遺品に記された経歴や情報からお察しすると、その類の趣向をお持ちだったのは高学歴で良い会社に勤めておられるエリートの方ばかり。“事実は小説よりも奇なり”と言えばそこまでですが、この仕事を始めてから遺品には当人の人生の表も裏も刻まれるのを実感しました。亡くなった後、人に知られたくない秘め事がある方は特にご注意を。残された身内を困らせないためにも出来る限り生前に証拠を片付けておきましょう。

現場エピソード その②

トラックでの運搬や搬入はじめ、家具など重くて大きな物を動かしたり、多種多様なゴミを片付けるなど、現場はいつも危険と隣り合わせですが、幸いわたしは大きな事故やケガには巻きこまれずに済んでいます。しかし、一度だけ遺品整理の現場でタンスを運んでいた時に突然、棚が外れて足の上に落ちて来て親指の爪が剥げたことがありました。後で確認したところ、タンスが壊れていたとか、梱包の仕方や運ぶ時の持ち方がまずかったわけでもありません。ただ、その時回りには人がいなかったのに後ろから誰かに引っ張られた気がしたんですよ。不可解なケガをしたので周りに聞いてみると、遺品整理の現場でよくある霊的な現象だったみたいです。きっと、亡くなられた方の想いがタンスにこもっていて動かされるのを拒否したのでは?との見解。わたしは霊感とか全くないので、そんなことがあるなんて考えもしませんでしたが、ふと、いつも一緒に仕事している先輩の顔を思い出しました。

その先輩はとても霊感が強い人で普段から霊が見えるらしく、現場で霊を見かけた場合は騒いだり、「ここに霊がいる」と人に話したりすると、その霊が自分の家まで後をついて来るんだそうです。従って作業中は霊のことなどおくびにも出さず、後日談として「実はあの時の現場に霊がいた」とか教えてくれるんです。なるほど、遺品整理の現場などは亡くなられた方が生活してきた場所を空っぽにするのがわたしたちの仕事なので、そこに漂う情念が霊となって作業する人間に取り憑くのかもしれません。霊感とは無縁のわたしでさえ、誰かに引っ張られる気配を感じたので間違いない気がしてきたんです。人の想いが沢山こもった場所で作業していることを肝に銘じ、丁寧かつ誠実な仕事をしなければ、と思い直す切っ掛けになりました。

仕事の喜びとは

ご紹介した現場でのエピソード然り、独立して引越しや遺品整理、不用品回収などに携わるようになり、サラリーマン時代にはまず出来なかった経験の連続ですが、この仕事だから味わえる充実感も増えています。その筆頭といえば、やはりお客さまに笑顔で感謝されること、これに尽きますね。例えば、依頼を受けて現場に赴いたら、目にした瞬間に途方に暮れてしまいそうなほど、家財やゴミがぐちゃぐちゃに散乱した状態に出会うことも少なくありませんが、これを綺麗にするのがわたしたちの役目です。与えられたミッションは、どこから手を付けたらよいのかわからないほど散らばったゴミや不用品を片付け、ハウスクリーニングの手前まで完全に清掃すること。

基本的には、一般的なご家庭の現場ならば1日、店舗などの大きい現場でも2日で作業を終了できるよう時間をかけず、いかに効率的に行うかが腕の見せ所です。作業を終え、すっからかんに片付いて見違えるほど綺麗になった家や部屋を見て大喜びされるお客様から感謝を伝えられると、身体の疲れなんて吹っ飛び、「この仕事をさせていただいて良かった」と嬉しくなってしまいます。片付けだけでなく、何かと面倒な引越し作業を短時間で手際よく済ませた時もそうですが、お客さまに笑顔になってもらえることが、この仕事の一番の喜びであり、やりがいかもしれません。

最近よく妻から「あなたは運がいいよね」言われます。彼女からすれば、長年勤めた会社を後先考えず、突発的に辞めたのになんだかんだあっても家族が困らずに生活できていることを伝えたいのだと思います。たしかに自分でも独立してからは、欲しいタイミングで仕事をもらったり、公私に関わらず、多くの人と良いご縁をいただいたり、幸運に恵まれているみたいです。この運が続くことを祈りながら、当面は今、手掛けている事業の前と後ろにつながるサービス業務を拡大していこうと考えています。併せて、対外信用面を踏まえて個人事業を法人化することも課題のひとつ。“運も実力のうち”と胸を張ってと言えるように、これからやることばかりですよ。

個人事業主として、家庭人として

個人事業主として自分は、まだまだ力不足とも思いますが、今日まで続けられてきたのは仕事の過程で困りごとが起きる度に、何かでつながりのある人に助けてもらえたことが大きい気がします。高校野球と18年余りのサラリーマン生活を通じて努力や継続することの大切さを学んだものの、人としては未熟なわたしに手を差し伸べてくださった方たちには、いつか必ず恩返ししたいですね。仕事で受けたご恩は、わたしが仕事で頑張って返さなければ。そのためにも現状に満足せず、新しい試みにも積極的に挑戦していく所存です。

家庭人としては、まずは妻に自分がやりたいことをさせてあげたい。これまで3人の息子の子育てを任せっきりだったので母親としてやることが多く、彼女が自由な時間が持てなかったのは、ひとえにわたしの責任です。得意分野の音楽なのか?あるいは他の仕事なのか?はわかりませんが、とにかく本人が好きなことをしてほしい。そして、スリーアールの屋号の由来でもある息子たちにもやりたいことをさせて、自分が進む道を選ばせようと思っています。いつの間にか3人とも大きくなって長男が小学校6年生、次男が3年生、3男が1年生(※2025年11月現在)です。現在、長男と次男はボクシングを習っていますが、その道に進むのも良し、あるいは別の好きなことを見つけるのも良し。贅沢は別にして、彼らが挑戦したい時に「お金がかかるのでさせてやれない」とならないようにするのが父親であるわたしの務めです。

最後に個人的には…もお伝えしたいところですが、自分自身の欲や夢があまりないんですよ。強いて言えば、趣味のゴルフを楽しみたいぐらいかな。それよりも我が家では年3回、家族で旅行に出かけるのを決まり事にしているので、これを途絶えさせないようにすることが重要です。夏に県外の温泉やホテル行ったりするのが定番でしたが、自分の意見を持ち始めた息子たちのリクエストを重視して行き先を決め、家族全員が楽しめる旅行を続けていかなくては。というわけで、わたしはまだ30代後半なので人生の半分にも達していません。仕事も家族も立派に成長させたいつの日か、またこの履歴書の続きを書きたいですね。

《有冨一貴(ありとみ かずたか)PROFILE》

スリーアール代表。1988年(昭和63年)2月19日生まれ。広島県呉市出身。
広島県立広島工業高校建築科卒業後、マツダスチール株式会社に入社。本社製造部で製造現場の技術職として製造工程における不具合箇所の改善提案、安全対策の工夫など現場の改善ほか、QC手法(品質管理)やKYT(危険予知トレーニング)の講習に参加してデータ分析やリスク対策の知識を身に付け、〝現場の見える化〟と“仕組みづくり”を意識した活動に取り組むなど、約18年間の勤務を経て退社。2023年10月、個人事業として広島市を拠点に引越し、不用品回収、遺品整理、残置物撤去などを手掛ける「3R(スリーアール)」を創業。趣味はゴルフ、筋トレ。

【事業概要】
屋 号 スリーアール
代 表 有冨 一貴
所在地 広島市安芸区矢野西3-69-2
創 業 2023年10月

業務内容 
〇引越し(単身・家族・長距離) 〇公務員向け引越し(自衛隊・警察・消防・市役所)〇不用品回収・家財整理 〇遺品整理・生前整理 〇残置物撤去・ゴミ屋敷清掃 ・ハウスクリーニング(入居前・退去後) 〇法人向け撤去・移転サポート
〇軽貨物運搬・スポット便
所有資格 
・古物商許可証 第731072400003 ・天井クレーン ・玉掛け ・アーク溶接・動力プレス

特 徴 
「現場経験18年の安全・効率・品質管理」「引越し〜撤去〜清掃まで一社完結」
「公務員・法人案件に柔軟対応」

■3Rホームページhttps://www.three-r0901.com/
■3Rインスタグラム https://www.instagram.com/three_rrr0219/
■有冨一貴 https://www.facebook.com/share/1HQvD7mR3t/

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