私の6年間の広島朝日会館在勤中、動員および興行収入の1等賞が、ディズニー映画「アラジン」です。
朝日新聞社を経営母体とする文化施設「朝日会館」は、昭和30年頃から広島をはじめ、名古屋、京都、神戸、福岡と各地に展開、朝日会館チェーンだけで映画をまわせるぐらいの劇場でした。その後、映画の斜陽化が叫ばれ、老朽化する建物の建替えとともに、各地とも閉館。私が勤務していた当時、残っていたのは、もうすでに広島朝日会館だけでした。先輩から聞いた話では「朝日会館チェーンでは、よくディズニー映画を上映していた」とのこと。昔からご縁のあるディズニー映画だっただけに、この作品は公開前から気合が入りましたね。※写真は当時の広島朝日会館ビル。
ストーリーの原作は有名な「アラジンと魔法のランプ」。主人公のアラジンが、魔法のランプの魔神ジニーの助けを受け、最後には、王女のジャスミン姫と結ばれるというラブストーリーありの冒険活劇で、大人も子どもも楽しめる内容でした。
主題歌となった「ホール・ニューワールド」は、後に結婚式での定番ソングになるくらいロマンチックな名曲で、こちらも映画と並んで大ヒット。そこで、私たちは若い女性に狙いを定め、FAXで前売券を申し込めるようにした映画のチラシを紙屋町、八丁堀界隈のオフィスにポスティングすることに。「注文が入れば、直接チケットを配達する」という宅配便みたいなサービスを展開したところ、連日多くの注文をいただき、やはり映画は女性に支えられているということを実感したのを覚えています。
こうして映画は、連日大入り満員。土曜・日曜は1日6回上映でしたが、当時は入れ替え制ではなかったので、朝一番の回に入場して来た女の子が夜の最終上映回までいることもありました。夜のとばりが下りて帰路につく女の子の後ろ姿を見ながら、“ディズニー愛”の強さにびっくりしたものです。※写真は広島朝日会館の劇場内。
一方、売店で販売する映画関連キャラクター商品も初日から爆売れしました。ついには映画会社から仕入れたグッズも在庫が尽きてしまい、売るものがなくなる羽目に。なんとかしなければと、窮余の一策として地元広島のディズニーショップに相談し、アラジン関連の商品をお店から仕入れて販売したのも懐かしい思い出です。
その時、仕入れたものの中に、映画に出てきた「空飛ぶ魔法の絨毯」がありました。もちろん空を飛ぶわけもなく、デザインを模した普通の絨毯です。数万円する高価なものでしたが、上映期間中の賑やかしになればと、展示したところ…。なんと、すぐに売れてしまいました。またもや「ディズニー恐るべし!」と驚かされた次第です(笑)。今でも主題歌の「ホール・ニューワールド」を耳にすると、忙しいけれど、楽しかった当時の日々がよみがえります。
※映画「アラジン」(原題:Alajin)1993年日本公開
監督:ジョン・マスカー/ロン・クレメンツ
主題歌:「ホール・ニュー・ワールド~」(ビーボ・ブライソン、レジーナ・ベル)
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